テクノロジー

2021.04.17 17:00

世界初「空飛ぶクルマ」の予約販売を開始、カプリンスキー真紀氏の米NFT社が開発

予約販売が始まったNFT社の「空飛ぶクルマ」

「空飛ぶクルマ」の設計・開発を手がける米NFT社は16日(米国時間15日)、個人向けの空飛ぶクルマ「ASKA」の予約販売を開始した。一般消費者として個人が購入できる空飛ぶクルマの予約販売は世界で初めて。同日、シリコンバレーに位置する、カリフォルニア州ロスアルトスにショールームを設置。ASKAのデモモデルを展示し、来訪者がアーバン・エア・モビリティ(UAM)についての理解を深められるセンターになる予定だ。納車は2026年の予定。

2019年7月25日発売のForbes JAPAN「セルフメイドウーマン」特集の取材の際に披露した1.0のコンセプトデザインを経て、今回発表したのは3.0のモデル。路上では大型のSUVサイズで、自動車のように走行可能。走行中に折りたたんでいた6つのローターを広げると、垂直や短い滑走距離での離陸と着陸ができる。初回特別限定版は、リチウムイオン電池に加えレンジ・エクステンダー(発電機)を搭載し、4人乗車で最大250マイル(約402km)飛行可能。飛行中の操縦は半自律飛行で行い、米連邦航空局(FAA)の自家用の小型飛行機ライセンスが必要になる。


地上を走行中は、6つのローターを折りたたんだ状態になる。

NFT社の共同設立者兼会長のカプリンスキー真紀は、ASKAが担う役割についてこう語る。

「今はあまりに都市に集中しすぎています。東京でもサンフランシスコでも交通渋滞は深刻な問題ですし、密集した都市の居住空間は悪化しています。社会と経済の発展には、新しい交通ソリューションが必要です。ASKAのように、走行と飛行を兼ねた『空飛ぶクルマ』があれば、郊外にも住みやすくなり、選択肢が広がります。私たちのライフスタイルや住む場所、交通インフラを『再定義』する、100年に一度のような大きな転機になると思います」

特別限定版は78万9000ドル(訂正:約8600万円)で、1500機を生産予定。FAA(アメリカ航空局)の承認待ちで、2026年に納車を開始したいとしている。

ロスアルトスの目抜き通りに位置するショールームは360平方メートルで、デモモデルなどの展示室のほか、車内の座席に張るレザーが飾られた商談室、エンジニアが在中するオフィスも併設。訪れた人は、営業担当者だけでなく、エンジニアから直接、デザインや安全性について聞くこともできる。ショールームの一角には、NFT社のこれまでの「失敗作」も展示する。


15日にオープンしたショールームの外観(ロスアルトス)
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構成=成相通子

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