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2021.04.21

ソフトバンクとヘッジファンド参入が、VC投資の規模拡大を促した

ソフトバンクによる新興テクノロジー企業への投資がメディアで頻繁に取り上げられていた頃のことは、まだ記憶に新しいかと思います。何百億円や、時には何千億円もの出資を行なったと報じられていて、これまでに前例のないスケールやペースで投資を実行していました。ソフトバンク以前は、そのような規模で投資できる資金力と大胆さを併せ持ったプレイヤーが存在しなかったのです。

VC業界ではこのような「ディスラプション」をポジティブに捉えることが多いのですが、それはもちろん自分たちに降りかかってこない場合に限ります。新しく作り出されたパラダイムはVC業界に変化を迫り、SequoiaやFounders Fund、Andreessen Horowitzなど、多くのトップVCがそれぞれ自社において過去最大規模のファンドを立ち上げる流れとなりました。

ソフトバンクはVC業界のスタンダードを根本から変えてしまったのです。その結果、以前よりも規模が大きく、はるかに野心的な投資が行われるようになりました。

Nikesh Arora氏の退任や、WeWork投資の大失敗向こう見ずな社内風土が横行している疑惑が深まるなどのニュースが続いた後、この通信キャリアから投資会社へ転換した日本企業のことをスタートアップ界隈ではあまり聞かなくなりました。

しかし、業界のスタンダードはすでに変わってしまっていたため、ソフトバンクが抜けた穴も、ほどなくして他のプレイヤーによって埋められていきました。そして、誰もがより大きなファンド、より大きな投資額を目指すようになり、まるで資本主義における軍拡競争のように投資スケールが拡大していったのです。

このように業界で大きな変化が巻き起こったわけですが、その最中に、より積極的にスタートアップ市場に参入しはじめた新しいプレイヤーがいます。それがヘッジファンドです。

意外かもしれませんが、Crunchbaseによると、今年の第1四半期において世界で最も多くの投資を行なった投資家はAndreessen HorowitzやLightspeedなどのVCファームではなく、Tiger Globalというヘッジファンドだったそうです。
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文=James Riney

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