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英製薬大手アストラゼネカとオックスフォード大学が開発した新型コロナワクチンについて、世界各国が使用を制限する動きに出ている。英国および欧州の規制当局が、このワクチンの接種と、非常に稀な血栓の発生に関係があるおそれを指摘したことを受けてのことだ。

専門家の共通見解は、このワクチンは安全かつ有効であり、接種によって得られるメリットは、可能性のあるすべてのリスクをはるかに上回るというものだが、血栓に関する今回の発表は、一般市民によるワクチンへの信頼を揺るがし、ワクチン接種計画の進行を複雑なものにしている。

英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は4月7日、30歳未満の成人にはアストラゼネカ製以外のワクチンを使用するべきだとの方針を明らかにした。英国では、閣僚や政治家がこれまで数週間にわたり、このワクチンの効用を強調する発言を繰り返してきただけに、この方針変更は唐突な印象を受ける。

MHRAのジューン・レイン長官は、ワクチン接種のメリットが、可能性のあるすべてのリスクを上回る状況に変わりはないと強調しつつも、若年層ではメリットとデメリットの間の「バランスに、より注意を要する」と述べた。これは、若年層は血栓を発症する可能性が高いのに対し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかるリスクが低いためだ。特に、英国のようにワクチン接種率が高い国では、若年層の感染リスクは低くなっている。

欧州連合(EU)の欧州医薬品庁(EMA)も同7日、血栓発生のリスクがあることを認めた。しかし、使用の制限を命じるには至らず、血栓を非常に稀な副反応として注記すべきだと勧告するにとどめた。しかし、EMAの報告書を受けて、フランスやドイツを含む他の欧州諸国に加えて、スペイン、イタリア、ベルギーの3カ国が新たに、アストラゼネカ製ワクチンの接種を60歳以上に限る方針を決めた(ワクチン接種に関して、EU内に統一した取り決めは存在しない)。

オーストラリアのスコット・モリソン首相は4月8日、同国政府の専門家機関から、50歳未満の成人に対してはアストラゼネカ製以外のワクチンを接種するよう求める勧告を受けたと発言した。この勧告は、「あくまで用心を重ねる」意味合いであり、同国での新型コロナウイルス感染症の発生率が低いことを踏まえたものだという。さらにモリソン首相は、アストラゼネカ製およびファイザー製のワクチンを採用している自国のワクチン接種計画について、この方針変更を反映させるための大幅な「再調整」が必要になるとの見方を示した。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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