新たに発表された調査によると、運動不足は新型コロナウイルス感染症の重症化や、同感染症を原因とした死亡リスクの増加とつながりがある。
英国スポーツ医学ジャーナル(British Journal of Sports Medicine)に先日掲載されたこの調査は、2020年1月から10月までに新型コロナウイルス感染症と確認された米国の5万人近くの成人を分析したものだ。
その結果、新型コロナウイルス感染症に感染した患者のうち、過去2年間で一貫して運動不足だった人は常に運動基準を満たしていた人と比べて、入院・集中治療を必要とする確率や死亡の可能性が高かったことが判明した。
米保健福祉省(HHS)が出した指針では、中強度の運動を週150~300分、または激しい有酸素運動や、激しい運動と中強度の運動の組み合わせを週75~150分することが推奨されている。
また、不定期であっても運動をすることで、全く運動をしていなかった人と比べて新型コロナウイルス感染症が重症化する確率が下がったことも同調査で判明した。
研究の著者のロバート・サリスは発表で「これは健康的な生活様式、とりわけ運動の重要性を思い出させてくれるものだ」と述べた。
新型コロナウイルス感染症になった全患者のうち、8.6%は入院し、2.4%は集中治療室(ICU)に入り、1.6%は死亡した。
全く運動をしていなかった人は常に運動をしていた人と比べ、集中治療室に入る確率が1.73倍、死亡する確率が2.49倍、集中治療を必要とする確率が73%高く、新型コロナウイルス感染症で死亡する確率が2.5倍だった。
同調査では、人種や年齢、性別、基礎疾患など他の要因が与えた影響についても分析。その結果、運動不足であることは年齢と臓器移植歴を除き、他のあらゆる基礎疾患やその他のリスク要因よりも強力な危険因子だったことが分かった。
研究者らは論文で「運動不足は喫煙や肥満、糖尿病、高血圧、心臓血管疾患、がんなどよく取り上げられる修正可能なリスク要因と比べ、(入院や集中治療室への収容、死亡の)全ての場合において最も強力な危険因子だった」と述べている。