マネー

2021.04.15

コインベースのIPOで「意外な勝者」となった大物ラッパー

viewimage / Shutterstock.com

Nas(ナズ)として知られるラッパーのナシル・ジョーンズは、4月14日の暗号資産(仮想通貨)交換所コインベースのIPOの意外な勝者となった。同社の初期投資家である彼の持ち株の価値は、少なくとも4000万ドル(約43.6億円)に達した。

ナスダックに上場したコインベースの株価は14日の終値で328ドルをつけ、時価総額は約650億ドル(約7兆円)に膨らんだ。

ジョーンズが設立した投資会社QueensBridge Venture Partnersは、コインベースの初期の出資元であり、2013年に行われた2500万ドルのシリーズBラウンドに参加した。彼は出資額を開示していないが、その額は10万ドルから50万ドルと推測できる。Pitchbookのデータによると、このラウンドでのコインベースの評価額は約1億5000万ドルで、現在の同社の価値の1%にも満たない規模だった。


ナシル・ジョーンズ(Photo by Prince Williams/Wireimage)

暗号資産メディアのCoinDeskによると、その当時のコインベースのシリーズB株の価値は約1ドルで、ジョーンズの会社は約10万株から50万株を保有していたことになる。IPO当日のコインベースの株価は、取引開始から数分後に415ドルに達しており、ジョーンズの持ち株の価値は、4120万ドルから2億600万ドルに達したことになる。

QueensBridgeがコインベースに出資した当時、暗号通貨はまだ始まったばかりの分野であり、(今でもそうではあるが)かなりのリスクを抱えていた。2013年当時は、GeminiやStellarのような他の大手の暗号通貨取引所はまだ設立されていなかった。

コインベースの他の初期投資家としては、アンドリーセン・ホロウィッツ(共同創業者のベン・ホロウィッツはジョーンズの友人)やユニオン・スクウェア・ベンチャーズなどの大手が挙げられる。また、バスケットボール選手のケビン・デュラントのような著名人も出資していた。

ジョーンズが育ったニューヨークの住宅地の名前にちなんで名づけられたQueensBridgeは2013年の設立以来、配車サービスのリフトやドロップボックス、マットレスのEコマースのCasper、ファンタジースポーツのFanDeul、歌詞のデータベースのGeniusなど、100社以上のスタートアップに出資している。

QueensBridgeは2014年にスマートドアベルのRingにも出資しており、同社が2018年に11億ドルでAmazonに売却されたことで、少なくとも2500万ドルのリターンをあげていた。

「ラッパーたちは昔から、常に投資の機会を探ってきた」と、ジョーンズは2018年のフォーブスのインタビューで話していた。

編集=上田裕資

ForbesBrandVoice

人気記事