この日、松山が収めた自身6度目となるPGAツアーでの勝利は、日本の男子選手がゴルフのメジャー大会で果たした初の快挙だ。これにより松山は、日本国内で最も尊敬されるチャンピオンの1人として、その地位を確固たるものにしたといえる。
日本は自国出身のアスリートに、特に畏敬の念を抱く国だ。その恩恵を受けている選手には、テニスの大坂なおみや錦織圭などがいる。大坂は昨年、女子スポーツ史上最も稼ぐアスリートとなった。ナイキやマスターカード、日産、ソニーをはじめとする各社とのスポンサー契約により、コートの外で得る収入は、年間およそ3400万ドル(約37億円)に上っている。
また、錦織はフォーブスが毎年発表する「世界で最も稼ぐアスリート」に過去5年間、名前を並べ続けている。グランドスラムを制したことがない一方で、錦織はこの間、スポンサー契約料などで少なくとも年収3000万ドルを得ている。
──だが、松山がこうした金額を稼ぐようになる日は、彼にとってはまだ「出発点」に過ぎないかもしれない。スポーツマーケティングの米オクタゴンの創業者で社長のフィル・デ・ピチオットは、「彼のような人は他にはいない」と語る。
「マスターズで優勝した日本人選手は、他には誰もいない。サプライヤーが1人しかいないということだ」
さらに、ゴルフの訴求力は、テニスを上回るとされている。日本はゴルフコースの数で、米国に次ぐ世界第2位。2000以上の施設に、3100を超えるコースがある。その数は、韓国と中国、タイ、インド、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ミャンマー、台湾、シンガポールにあるコースの合計を超えている。