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2021.05.01 19:00

「2021年の世界の富豪」、IPOで生まれた新ビリオネア10人

トニー・シュー、ホイットニー・ウルフ・ハード、パン・シヒョク(Getty Images)

トニー・シュー、ホイットニー・ウルフ・ハード、パン・シヒョク(Getty Images)

SPAC(特別買収目的会社)を使った上場がブームだが、今年ビリオネアになった起業家の中には、伝統的なIPOで富を築いたケースの方が多い。

昨年3月にフォーブスが2020年のビリオネアリストを完成させたとき、株式市場は新型コロナウイルスの大打撃を受けていた。S&P 500は2月19日の最高値から29%下落し、エアビーアンドビーやワーナーミュージック・グループは、2020年に予定していたIPOを延期した。

しかし、2020年の後半から株式市場は力強くリバウンドし、2021年に入っても株高は継続している。この結果、新たに493人のビリオネアが誕生した。このうち、10名はSPAC上場で富を築いたが、少なくとも60名は伝統的なIPOでビリオネアとなった。

この1年のIPO件数は、世界で1489件あり、調達額は3140億ドルに達する。前年のIPOは1239件で、調達額は2340億ドルだった。今年IPOを果たした注目企業の中には、12月にニューヨーク証券取引所に上場したフードデリバリー企業のドアダッシュが含まれる。

ドアダッシュのIPOで、共同創業者でCEOのトニー・シューと共同創業者のアンディ・ファンとスタンリー・タンはビリオネアとなった。他にも、女性優先の出会い系アプリを運営するバンブル(Bumble)が2月にナスダック市場に上場し、共同創業者兼CEOである31歳のホイットニー・ウォルフ・ハードは、世界最年少のセルフメイド(叩き上げ)の女性ビリオネアとなった。

フォーブスが今年4月に発表した世界の富豪ランキングに入ったビリオネアの中で、伝統的なIPOで富を築いた起業家たちを下記に紹介する(資産額は、2021年3月5日時点の推計金額)。

1. Pan Dong


資産額:83億ドル
国籍:カナダ
企業名・分野:Blue Moon Group Holdings(消費財)
Dongは、今年新たにビリオネアとなった女性の中で最も資産額が大きい。彼女は、夫のLuo Quipingが設立した洗濯洗剤メーカー「Blue Moon Group Holdings」のCEOを務めている。昨年12月に香港証券取引所に上場した同社は、液体洗濯洗剤と液体石鹸の販売で中国最大手となっている。

2. Vyacheslav Kim


資産額:33億ドル
国籍:カザフスタン
企業名・分野:Kaspi(フィンテック)
Vyacheslav Kimはカザフスタン最大のフィンテック企業で決済サービスを手がける「Kaspi」 の会長を務めている。彼は、小さなリテールバンクだったKaspiを、決済やEコマース、モバイルバンキングを提供するアプリに進化させ、ロンドン証券取引所に上場させた。カザフスタンでは、全人口1800万人の半数がKaspiを利用している。同社の共同創業者のMikhail Lomtadzeも保有資産32億ドルで、ビリオネアの仲間入りを果たした。
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編集=上田裕資

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