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マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ(Getty Images)

マイクロソフトは4月12日、人工知能(AI)や音声認識ソフトを手がける「ニュアンス・コミュニケーションズ」を197億ドル(約2兆1500億円)で買収すると発表した。これは、マイクロソフトにとって、2016年にリンクトインを260億ドルで買収して以来の大規模な買収であり、現金を豊富に持つ同社が今後、さらに新たな買収を連発することも予想できる。

マイクロソフトは、昨年12月時点で1300億ドルのキャッシュを保有していた。アップルのSiriのソフトウェアを開発し、現在は医療機関向けの音声認識と自動化に注力しているニュアンス社を買収したことは、マイクロソフトの中核であるエンタープライズ・ソフトの枠を超えて事業を拡大しようとするサティア・ナデラCEOの野心を示しているとアナリストは述べている。

ウェドブッシュ証券のアナリストであるダン・アイブスは、「ナデラはM&Aを推進している。マイクロソフトは成功にあぐらをかかず、次のフロンティアを目指している」と述べた。

マイクロソフトは昨年9月、「Doom」や「Wolfenstein」などの人気ゲームを所有するゲーム持株会社ZeniMax Mediaを75億ドルで買収していた。その前には、短編動画アプリのTikTokの一部を買収しようとしたが、ライバルであるオラクルに敗れていた。

さらに、マイクロソフトは人気のチャットアプリのDiscordを100億ドル以上で買収する交渉を行っていると報じられている。

ZeniMaxやTikTok、Discordはいずれも、マイクロソフトが他の巨大企業に比べて遅れをとっているコンシューマー市場の企業だが、ニュアンス社はエンタープライズ事業を強化するための買収だ。

マサチューセッツ州バーリントンに本社を置くニュアンス社は、音声認識およびAI技術のメーカーで、収益の60%以上をヘルスケア業界から得ている。ニュアンス社のAI技術は、小売業、製造業、金融サービスなど、マイクロソフトがクラウドを運営している他の業界にも応用できると、Sanford C. Bernstein & Co.のアナリストであるマーク・モアードラーは述べている。

エンタープライズソフトウェアは、以前からマイクロソフトの中核だった。同社は、WindowsシリーズやOfficeスイート、WebブラウザのInternet ExplorerおよびEdgeに加え、アマゾンのAWSと直接競合するAzureで、クラウドへの足掛かりを築くことに成功した。

編集=上田裕資

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