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2021.04.15

一流の機械学習エンジニアを雇用する:Googleが求める人物像とは

10社中7社が、過去1年間でAI技術への投資を増やしています。しかし、ビジネスの成長を促進する適切な人材を見つけることは困難です。(本記事は米国版Forbesに掲載された、Google CloudのBrandVoiceコンテンツを転載したものです)


企業が人工知能(AI)テクノロジーを採用してコストを削減し、効率性を向上させ、そのデータから価値を得るにあたり、機械学習に関わるエンジニアはますます価値あるリソースとなっています。最新のRELXの調査によると、63%の企業が、AIがパンデミック時のビジネスの回復にプラスの影響を与えたと報告しており、およそ10社中7社がAI技術への投資を昨年度よりも増やしています。

他の新しいイノベーションと同様に、期待通りの価値を実現させるには、それをサポートするために最適な人員を配置することが大変重要です。才能あるAI人材は不足しています。およそ5社中2社が、AIテクノロジー使用のための主な障害として技術的な専門知識の不足を挙げています。

AI人材の需要は供給を上回っている


企業が現在直面している大きな問題の一つは、AI担当部門のオープンポジションが、条件を満たす人の数をはるかに上回っていることです。例えば、Indeed.comのデータによると、AI関連の求人数は求職者数の3倍あり、2016年から2018年にかけて、AI人材の求人数はその検索数の12倍の速さで増加しています。


AI関連の仕事には、機械学習エンジニア、予測モデラー、cmt解析マネージャー、データサイエンティスト、コンピュータビジョンエンジニア、コンピュータ言語学者、情報戦略マネージャーなどが含まれます。INDEED.COM

キャリアとしての機械学習(Machine Learning:ML)への興味も急増しています。米国のGoogleでの最近5年間の機械学習エンジニアの求人数は、2020年1月に過去最高に達しています。


Googleトレンドは、過去5年間での機械学習エンジニアリング業務の検索インタレストが増加していることを示しています。GOOGLE.COM/TRENDS

「機械学習エンジニアになる方法」や「機械学習エンジニアの給料」などの他の検索キーワードも、同じ期間で5,000%以上の増加を見せています。


「機械学習エンジニアになる方法」や「機械学習エンジニアの給料」などの検索キーワードは最近5年間で5,000%以上の成長を見せています。出典: GOOGLE.COM/TRENDS

しかしながら、興味と需要とは反対に、スキル、知識、関連する経験は不足しています。Deloitteの「大企業におけるAIの現状」のレポートでは、LinkedInでの一流AI専門家の数は40,000人以下で、全世界では300,000人のAI技術者が存在することが報告されています。組織がAI採用の初期段階であるか、経験豊富であるかを問わず、AIを導入する企業においてAI開発者やエンジニアが最も求められているのは当然のことでしょう。世界的にタレントプールが小さいことを考えると、非常に優れた機械学習エンジニアの素質とはなんでしょうか。このような才能豊かな人材を雇用できたとしたら、彼らが成功するために何ができるでしょうか。

関連情報: Google Cloudによる独自調査レポート「飽くなき挑戦:パンデミックがデジタルビジネスの課題をどのように変えたのか」では、世界各国2,000人のシニアITリーダーにアンケートを行い、パンデミックにおける組織のデジタル変革やビジネスの課題について、リアルな声をまとめました。日本版レポートを無料配布中です。ぜひご一読ください。

業務に最適な機械学習エンジニアを見つける方法


Googleは、優れた機械学習エンジニアを雇用するノウハウをいくつか持ち合わせていますが、AI研究の最前線にいるスタートアップや公共団体との競争に直面しています。Googleのエンジニアリングマネージャーに、一流の人材の素質について訊ねてみました。Googleの機械学習エンジニア全員に多く共通する素質と、雇用する際に見るべき点をご紹介します。

● 彼らは、分散システムアーキテクチャについて深く理解しています。機械学習の
ワークロードは膨大で、巨大なデータセット、平行データ処理、分散トレーニング
が必要となる場合がありますが、ストレージ、ネットワーク、コンピューティング
のリソースを効果的に活用する方法を知っていれば、プロセスを大幅に高速化しコ
ストを削減できます。
 
● 機械学習ソリューションをモジュラーアーキテクチャに分解します。ソフトウェア
開発と同様に、機械学習システムをデプロイする際はモジュール化も重要です。
チームメンバーが個々の部分で効率的に作業できるようになるだけではなく、他の
チームや将来のプロジェクトでの再利用性も高めることができます。

● テストの重要性を認識しています。一流の機械学習エンジニアは、パフォーマンス
をモデル化するための入力データの検証から統合コードまで、機械学習システム構
築プロセスにおける各ステージでの厳しいテストを重視します。
 
● 常にセキュリティを最優先事項として捉えます。AIと機械学習では、自動化、膨大
で複雑なデータ、クラウドでのワークロードの管理と処理により、独自の一連のセ
キュリティ上のリスクが生まれます。機械学習エンジニアは、機械学習開発プロセ
スにセキュリティの概念を一貫して適用し、すべてのトレーニングデータ、ツー
ル、通信チャネルのセキュリティを確保し、適切に管理する必要があります。
 
● コミュニケーション能力に優れています。機械学習エンジニアは複数の規律が交差
する場所で業務に当たるため、効果的なコミュニケーションが欠かせません。デー
タサイエンティスト、デベロッパー、マネージャー、ビジネスユーザーなどのさま
ざまな相手に現状、リスク、トレードオフなどを説明する必要があります。
 
● 「ほどよい加減」を理解しています。機械学習システムには改善と自動化が可能な
ことは数多くありますが、労力が価値を上回ってしまう場合を認識できることが重
要です。プロジェクトの目標と目的に注力し続ける必要がありますが、いつやめる
のかは機械的に判断できます。現在のモデルを完璧にフィットさせるために必要な
時間を割くのではなく、次のモデルに移ることで、優れた投資収益率を達成できる
ことがよくあります。
 
● 何が必要なのかをはっきりと主張します。同様に、内部に注力したツールと生産性
の向上が必要な場合、機械学習エンジニアは声を上げる必要があります。ビジネス
は常にできるだけ早く、より多くの機能を必要としますが、実現のためのツールや
プロセスを提供できないことが多々あります。多くのモデルでは単一の機械学習モ
デルをデプロイするために1~11週間かかり、技術者の26%は幹部の了承が得られず
遅延が発生する場合があると感じています。機械学習エンジニアは、すぐには効果
を上げないものの長期的には生産性の向上へつながる分野への投資を、厳しい条件
で求められることがあります。
 
● 柔軟性に優れています。機械学習プロジェクトでは、不十分なデータへのアクセス

や、ニーズを満たすためには十分に精確ではないモデルの構築など、あらゆる障害
物にぶつかる可能性があります。苛立ったり最終的な目標を見失ったりせずに、障
害に打ち勝てるよう戦略を簡単に変更できることは、プロジェクトの完成の鍵とな
ります。ツーリングを重視した柔軟性の実証も資産となります。TensorFlow
PyTorch、scikit-learnなどの複数のフレームワークでの経験も、一流の人材における
優れたシグナルとなります。
 
● 好奇心を持ち、クリエイティブに問題を解決します。物事がうまく進まない事態は
必ず起こりますが、そのときに一流の機械学習エンジニアは、問題となっている機
械学習、データ、ソフトウェアの要素をクリエイティブに見る必要があります。機
械学習パイプラインの上流に隠された些細な原因により低品質な結果が生まれる場
合、それはデータサイエンスの問題(偽陽性)であることがあります。強力な機械
学習エンジニアは、考えられる根本原因の範囲において調査を厭わず、質問し続け
る根気が必要です。
 
● 心強い相談相手となる存在です。この新しい分野において成長の機会は数多く存在
するため、独自の観点と知識を共有することで他の人の相談相手の役割を果たしま
。複雑なシステムに取り組み、さまざまな関係者と協業した経験は、組織内の知
識の源となります。

● 謙虚なアプローチを取ります。AIは急速に変化しつつあり、私たちの世界も静的な
ものではありません。Googleは、常に学習し続けることを忘れないようにしていま
す。プロダクトを完全なものにするのは不可能ですが、改良は常に行うことができ
ます。機械学習エンジニアは長期的に、Cloud Vision APIからジェンダーのラベルを
削除するなどの困難な決定を行う必要があります。これらの変更は、社内と社外の
両方に対して説明が困難なものですが、優れた機械学習エンジニアは高度なテクノ
ロジーの複雑な現実を尊重するよう心がけています。また、誰よりもインプットの
多様性に情熱を注ぎ、サポートの文化を大切にします。
 
関連情報: AIの導入に当たって役立つ情報をGoogle Cloud AIのリーダーが共有

エンジニアリングのコミュニティがデータサイエンスに没頭している中、機械学習は多くの人にとって新しいスキルであることに、Googleは気づきました。世界最大級のデータサイエンティストと機械学習エンジニアのコミュニティであるKaggleの最新の調査によると、コミュニティ内のデータサイエンティストの55%強が、機械学習の経験が3年未満であることがわかりました。プロのデータサイエンティストのうち、機械学習を10年以上使用しているのは6%以下でした。


コミュニティ内のデータサイエンティストの55%強が、機械学習の経験が3年未満であり、プロのデータサイエンティストのうち、機械学習を10年以上使用しているのは6%以下でした。KAGGLE

世界的なタレントプールがそもそも小さいため、一流の機械学習エンジニアを募集して雇用することは困難ですが、不可能ではありません。可能性を探る方法を学び、前述の特性を探求することで、企業は一流の機械学習エンジニアを採用できます。また、企業はプラットフォームとツールを選択できます。

GoogleのCloud AI Platformなどのツールは、スケーラビリティ、セキュリティ、デベロッパーのベロシティの課題の多くの解決に役立ちます。優れた人材を優れたツールと組み合わせることで、従業員が機械学習プロジェクトに取り組み価値をもたらす能力を最大化できます。

関連情報: GoogleがGartnerの2021 Magic Quadrant for Cloud AI Developer Servicesのレポートでリーダーに選出された理由とは。レポートはこちらから入手いただけます。

AIプロジェクトの実現にはチームワークが重要


AIが成功するかどうかは、一流の機械学習エンジニアを用意するだけでは予測できません。2021年のRackspaceの調査によると、モデルファクトリーの枠組みが適用されAIと機械学習の能力が成熟していると報告したのは回答者のわずか17%でした。加えて、回答者の大多数(82%)がAIの実装方法を未だ模索中であるか、AIと機械学習モデルの実用化に苦労していると述べました。

AIプロジェクトの成功にはエンジニアリング以外のインプットが必要です。ほとんどのAIプロジェクト(VentureBeatによると87%)が製品化されないのは、技術者以外の人々がそのビジョンを共有できていないからです。AIにおいてエンジニアリングの専門知識は常に重要ですが、プロジェクトをテストから実運用に移すためには、技術者と非技術者を問わず、全員が役割を果たせるようなワークフローを確立することが不可欠なのです。

機械学習を開始したいがどこから始めるべきかわからない場合は、AI採用フレームワークで、企業向けに変革的なAI機能をビルドする方法をご確認ください。


Anthony Goldbloom 600万を超えるメンバーを抱える世界最大級のデータサイエンティストと機械学習のコミュニティである、Kaggle(Googleの子会社)のCEO 。Forbesは彼をテクノロジーにおける30歳未満の30人の1人として2度選出し、MITテクノロジーレビューは彼を35歳未満のイノベーター35人の1人に選出している。メルボルン大学は彼にAlumni of Distinction Awardを授与した。

Craig Wiley Google Cloud AIプロダクト担当ディレクター。Wileyのミッションは、若いアナリストであれ熟練のディープラーニングサイエンティストであれ、機械学習をすべての技術者にとって簡単なものにすること。彼はAIのデプロイの促進と、モデルのデプロイとビルドを同じくらい簡単にすることに特に興味を持ち、Google BigQueryのプロダクト管理にも携わったことがある。Google入社前は、Amazonに9年間在籍し、AWSの機械学習プラットフォームであるAmazon SageMakerのゼネラルマネージャーを務めた。Wileyはデータの力の民主化に強い信念を持ち、ユーザビリティを向上させ、ユーザー層を広げている。勤務外では、家族との時間、サイクリング、美味しい食事を楽しむ。


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