いまだに根強い更年期のタブー視、従業員支援に乗り出した企業も

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英国の国民保険サービス(NHS)は、更年期に伴う症状として、寝汗、不眠、動悸を挙げている。こうした症状によって睡眠が妨げられる結果、すっきりと疲労が取れた状態で仕事に臨めない可能性もある。同様に、集中力や記憶力の低下、情緒不安定、頭痛といった症状も、働き方が柔軟性に欠ける職場においては、仕事の遂行が困難となる原因となりうる。

ボーダフォンが依頼した今回の調査に参加した人のうち、更年期に伴う症状が仕事に影響を与えたと考えている人は62%に達した。また、この問題への対応策として、雇用主の側が、更年期を迎えた従業員にもっと支援を行うべきだと回答した人は64%だった。

英国以外の国に目を移すと、すべての調査対象国で、更年期に伴う自らの症状を職場で明かすことにためらいを覚える傾向があり、もっと支援が欲しかったという回答が目立った。だが、イタリア在住の回答者では、症状を隠した人の割合は28%と比較的低く、南アフリカの人は更年期について同僚に話すことに最も積極的だった。

今回の調査を依頼したボーダフォンは、自社従業員の支援と権利保護を目的に、研修および啓発プログラムを作成している企業の1つだ。ほかには、英国のテレビ局、チャンネル4やグーグルも同様の取り組みを行っている。

現状では、更年期や閉経移行期は、英国の平等法(Equality Act)が定める保護の対象ではない。しかし大手企業では、こうした時期に仕事をする人たちを支援するために、更年期に関するポリシー(Menopause Policies)を設ける動きが出ている。

アストン・ボンド(Aston Bond)法律事務所によると、こうしたポリシーには、より柔軟な勤務体制の適用や、有給休暇の付与に加え、メンタルヘルス面でのサポート、室温などのオフィス環境の調整が含まれるという。

人事および人材開発に関する英国の専門団体、人材開発協会(CIPD)も、更年期が近づいている時期の人たちを対象にした、職場での支援体制に関する聞き取り調査を行っている。こちらの調査では、59%の人が更年期に関連する症状が仕事にマイナスの影響を与えていると回答し、集中力が続かない(65%)、ストレスが増えたと感じる(58%)と答えた人も半数を超えた。

調査では多くの人が、「更年期に関連した症状について話せない雰囲気がある」あるいは「助けを得られていないと感じる」と述べている。職場で更年期を話題にすることは、更年期にまつわるタブーを打ち破るだけでなく、従業員が「悩んでいるのは自分だけではない」と知ることができ、自らの能力をフルに発揮できることにつながるだろう。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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