コロナ感染の2つの波を抑えたカナダ、変異株の脅威に直面

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新型コロナウイルスの流行の第2波まで、カナダの人口あたりの感染者数と死者数は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最も低い水準に抑えられていた。だが、その状況は現在、変わりつつある。人口100万人当たりの新規感染者数は急速に米国に近づいており、米国を追い越す可能性もある。

カナダの公衆衛生当局と医師らが特に懸念しているのは、アルバータ、ブリティッシュコロンビア、オンタリオ、ケベックの各州で、新型コロナウイルスの変異株「B.1.1.7(英国型)」と、「P.1(ブラジル型)」の感染が急速に拡大していることだ。

カナダは外国から入国する人に対し、ホテルでの一定期間の自主隔離を義務付けているものの、特定の変異株が国内に入り込むのを防ぐことはできなかったようだ(もちろん、厳格な措置が導入される前に、すでに変異株が国内に入り込んでいた可能性もある)。

同国のこうした状況を受け、米疾病対策センター(CDC)は先ごろ、「カナダへの渡航を避けるべき」とする厳重な警告を発した。「(2回の)ワクチン接種を完了した旅行者でも、現在のカナダの状況では感染し、感染を拡大させるリスクがあると考えられる」という。

この異例の警告の中で言及されているのは、比較的若い人にも感染力が強く、重症化リスクがより高い英国型とブラジル型の変異株だ。特にブラジル型は、入院が必要になるケースが多いことが報告されている。さらに、ブラジル型はその他の変異株と比べ、ワクチンによる免疫反応を回避する能力が高い可能性があると指摘されている。

カナダのワクチン接種プログラムはこれまでのところ、州を問わずひどい状態にある。少なくとも1回はワクチン接種を受けた人の割合は、およそ13%。これは、米英両国と比べて相当に見劣りする数値だ。欧州連合(EU)加盟国の多くと比べても、低い割合となっている。

米国では4月9日の時点で、人口の20%近くがワクチン接種を完了。一方、カナダのその割合は、2%にとどまっている。
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編集=木内涼子

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