先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま

「コラプション・ディテクター(Corruption Detector)」の動画より

どこの国でも政治家にまつわる汚職の問題は絶えない。日本の場合、それが発覚するのは、週刊誌の報道がきっかけとなることが多い。とはいえ、記事となって私たちの目に触れることになるのは、実はごく一部かもしれない。

南米のブラジルでも、政治家の汚職は蔓延しているという。しかも、それら「腐敗した政治家」の経歴隠蔽には、凄まじいものがあるようだ。

2018年10月に行われたブラジルの総選挙では、なんと4万人以上もの人間が立候補の意向を示したが(日本の2017年10月の総選挙の立候補者数は1063人)、そのなかには、過去に不正や汚職で問題を起こしたことのある人物が多数含まれていた。

とはいえ、それらの候補者の履歴は、わざわざ裁判所に行って記録を確かめないと明らかにならないのだという。

自社の姿勢の明確化をはかる


このような現実に対して、徹底したデータ整備とテクノロジーを活用して、不正の記録を人々にわかりやすく伝えようと試みた企画がある。世界最大の広告関連のフェスティバルであるカンヌライオンズ、2018年のモバイル部門でグランプリなどを受賞した「コラプション・ディテクター(汚職検出器)」だ。


「‘Corruption Detector’ by Grey Brazil São Paulo for Reclame Aqui」

企画したのは、ブラジルの企業「リクレイム・アキ(RECLAIM AQUI)」。この会社は20年もの間、主に消費者からの苦情(クレーム)を受けるサイトを運営し、消費者と企業とを意味ある形で結びつける業務を行なってきた。

今回の「汚職検出器」では、商品やサービスへの苦情だけではなく、政治における腐敗に切り込むことで、「人々を守る」という自社の姿勢の明確化と、さらなる評判の獲得をめざしたという。

リクレイム・アキ社は、ブラジルの複雑な司法制度のために有権者の目に触れにくくなっていた汚職や行政詐欺に関係する告発や調査を分析・選択し、公式記録を含む包括的なデータベースを数カ月かけて独自に作成。それを政治家それぞれの顔認証と紐づけたアプリをつくったのだ。

このアプリを入れたスマートフォンを政治家の顔にかざすと、顔認識技術によって、腐敗を示すパープルの色がつき、警告を発する。認証される顔の画像は、テレビ画面、新聞、インターネット、屋外ポスターにあるものはもちろん、候補者本人とリアルに対面した際にもアプリは機能する。

文=佐藤達郎

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