ビジネス

2021.04.12 17:00

英規制当局がフェイスブックのGiphy買収を調査する理由


しかし英国の競争・市場庁(CMA:日本の公正取引委員会に相当)は2021年4月1日、この買収に関して調査を実施すると発表した。同庁が行った予備的調査での結論によると、フェイスブックはGiphyを所有することで、この種のコンテンツフォーマットの供給を支配し、それによって、他のソーシャルプラットフォームがフェイスブックの支配と競争する可能性をコントロールするだけでなく、フェイスブックがユーザー個人や、競合するソーシャルプラットフォームの利用動向に関するデータを収集する手段を手にする可能性があるとされた。

Giphyは現在、ツイッター、スナップチャット、スラック、レディット、TikTok、バンブル(Bumble)、ペイパル、シグナル(Signal)などあらゆるサイトに組み込まれている。そして、フェイスブックが自社サービスのAPIや統計データを利用して、競合ツールの利用状況に関する非公開情報の入手を試みるのは、これが初めてではない。

あなたがフェイスブックやサードパーティーアプリで使うアニメーションGIFから、フェイスブックはあなたについて何を知るのだろう? 彼らはそのデータを何と結びつけるのだろう? もしも買収が撤回されたら、フェイスブックはすぐさま類似の自社サービスを開発し、普及させるのだろうか?

少し前なら、こうした買収が規制当局の目に止まることはなかっただろう。だが、巨大テック企業の活動に対する規制に関心が高まっている現在では、状況は異なる。あらゆる取引がより厳しく、徹底的に精査されており、市場のリーダー的地位を強固にする方向に作用するであろう、さまざまな副次的影響についても評価されている。

圧倒的な資金力を持つ巨大テック企業各社は、ネットで見つけたどんなものでも、買収するかコピーするかして、すぐに自社の戦力に変えることができる。イノベーションと競争という面から見て、こうした状況は問題であり、だからこそ英国当局は調査に乗り出した。

ソーシャルネットワークの絶対的支配者が、ウェブ上のあらゆる表現やコミュニケーションで最も人気がある、アニメーションGIFの検索・選択のリーダー的企業を買収するのだ。気楽にとらえてなどいられるだろうか?

翻訳=的場知之/ガリレオ

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