のちにこのシンプルなアイディアが、ウェブ上でもっとも訪問数が多く、成長の速いサイトのひとつに変貌するとは、当時の彼らには思いもよらなかった。それでも、開設後1週間で100万人以上のユーザーを獲得したことで、彼らも手応えを感じた。
8月には規模を拡大した。最初にフェイスブック、続いてツイッターのユーザーが、ウェブでの会話のなかに、さまざまな感情や概念と関連づけた短い動画を挿入できるようになった。そして、250万ドルの資金調達を終えた後には、さらに多くのサイトがそれに続いた。
2度目の資金調達ラウンドでの評価額は8000万ドル。その後も同社は、機能の追加や、他社の買収を行いつつ成長を続けてきた。2016年には、アクティブユーザーが1億人を突破し、1日に10億以上のGIFが投稿されるようになった。ユーザーは同社の「コンテンツ」を、1日に計200万時間も視聴するようになっていた。
2人の最初の直感は正しかった。会話は退屈なものだが、アニメーションGIFは楽しさを加えてくれる。それだけでなくGIFは、ほぼすべての言語話者が簡単に理解できる、感情のユニバーサル言語となったのだ。
グーグルは2018年3月、類似の小規模サービスであるTenorを買収した。そして2020年5月15日、ついにフェイスブックがGiphyを総額4億ドルで買収し、その機能をインスタグラムと統合すると発表した。
Zoomなど一部のアプリケーションは、Giphyとの連携を一時的に停止したが、インスタグラムのディレクター、アダム・モセリは、個人情報保護規制が運用上のハードルになることを予見し、「買収はデータとは無関係だ」と主張した。