出生前に子どもの疾患リスク予測、遺伝子検査スタートアップのOrchidが資金調達

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子どもの遺伝的リスクを出生前に予測し、そのリスクを減らす方法を妊娠前に知ることができたらどうだろう。新しいタイプの遺伝子検査を開発した米オーキッド(Orchid)は、子づくりを計画するカップル向けにそうしたリスクを定量化するサービスを提供するスタートアップだ。

オーキッドは7日、シード段階の資金調達ラウンドで450万ドル(約4億9300万円)を調達したと発表した。トップクラスのベンチャーキャピタル(VC)や、米トゥエンティースリー・アンド・ミー(23andMe)など同業の既存企業の創業者らが出資した。

オーキッドは、パートナー両方の全ゲノムを調べ、その子どもが一般的な慢性疾患を発症する遺伝的リスクを評価する初の市販検査を開発した。また、認定遺伝カウンセラーとの面談など、専門家によるサポートも提供している。

「カップル・リポート」と呼ばれる同社の遺伝子検査は、カップルが自宅で採取した唾液を使い、特定の遺伝性疾患について子どもの発症リスクが高いかどうかを判定する。対象となる疾患は、乳がん、前立腺がん、心臓病、心房細動、脳卒中、1型糖尿病、2型糖尿病、炎症性腸疾患、統合失調症、アルツハイマー病の10種類となっている。

従来の遺伝子検査では、劣性遺伝性疾患の原因となる遺伝子をもっているかどうかを調べるキャリアスクリーニングを行う。通常はまず女性パートナーを検査し、その人が保因者とわかれば、まれな変異について調べるため男性パートナーも検査する。これに対して、オーキッドの検査では初めからパートナー両方を検査し、劣勢遺伝性疾患以外も含めて複雑な病気のリスクを判定できる。

オーキッドの創業者、ノア・シディキ最高経営責任者(CEO)は「ほかの遺伝子検査では普通、ジェノタイピング(遺伝子型解析)チップによってDNAの2%ぐらいしか解析しないのですが、当社ではゲノム全体を解析します。30億の塩基対を全部調べるのです」と説明する。

オーキッドは、パートナー両方の全ゲノムを評価したうえで、その結果を組み合わせて将来の子どものリスクプロフィールを作成。唾液サンプルの送付から4〜6週間後、カップル向けと女性、男性の各パートナー向けの3種類のリポートを送付する。

シディキによると、オーキッドではパートナー2人のDNAがどのように再結合するかをモデル化することで、リスク評価を可能にしているという。リポートをいち早く得られるように、すでにウェイティングリストに登録できるようになっている。

オーキッドの目標は、リスク要因の評価によって将来世代の慢性疾患を予防することだ。自分や自分の子どもが特定の病気に関して発症リスクが高いかどうかわかれば、その抑制や早期発見に向けた行動がとれるほか、子どもを産む際に胚スクリーニングや体外受精を受けるかどうかなど、選択肢も広がることになりそうだ。

編集=木内涼子

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