ビジネス

2021.04.20

MERYがメディアをやめる? ファンとのコラボという全く新しいコミュニティへ

業態変更とも言えるMERYの変革は、メディア業界に光をもたらすか


情報発信という、従来の一方向の形態からユーザー参加型の双方向へと転換し、よりユーザーとの関係性を密にするため有料制サイトも併設する。コンテンツもファッションやコスメから多様性を持たせ、女性の生き方や価値観にもフォーカスする。「好きをみつけて、なりたい私に」のコンセプトを前面に打ち出し、展開していくものになる。

MERY COOの青木秀樹はこの新しいサービスの根底にある発想について「一方向でしかユーザーさんに情報を届けられないという既存の仕組みは課題になっていた。我々がやるべきことは、情報提供だけではないのではないか。参加してくれるユーザー同士のつながりだとか、運営者とのコミュニケーションを通して、ユーザーが新しいスキルを発見する、興味のあることに踏み込んでみようって思えるように、我々が背中を押してあげる必要があるのではないか。それをやりたいのです」と熱く訴える。

MERY COO 増田の写真
MERY COO 青木秀樹

「MERY好きの熱量」を軸にコミュニティサイト展開


コミュニティサイトは、ユーザーの「MERY好きの熱量の深さ」を軸に4階層に分け、運営される。

MERY好きの熱量の深いユーザー向けには、有料の月額会員制コミュニティサイト「MERY &」を新設する。ユーザーと運営側がタッグを組んでコンテンツやイベント企画制作など様々な取り組みを行い、会員との密なつながりを構築するのが目的だという。MERYと一緒にアクションを起こしたいという女性を4月9日から募集をかけ、まずは50人の規模を目指す予定だ。

また、MERYと一緒にストーリー性のあるモノ作りをしていきたいユーザーをターゲットにした、無料の会員制コミュニティサイト「atelier MERY」も開設。1年前から実験的に実施していたが、今月中にユーザー開発商品の販売がスタートし、本格稼働する。

もちろん、これまで通り440万人のMERYファンとの対話も継続するため、オープンな参加を促すコンテンツ重視のコミュニティサイトと、MERYショップ専用サイトはそのまま残す。MERYのサイトへアクセスすれば、ユーザーの目的に叶う体験をチョイスできるしくみだ。

コミュニティを表す図表
広くつながるコミュニテイの層から、会員とMERYに加え企業までが深くつながるコミュニテイの4つの階層で構成される

MERYで新しいコミュニティを担当する木綿裕美は、「何かやってみたいけれど、何が好きなのかわからない、と悩んでいる女性のほうが、発信力のある女性より圧倒的に多い」と分析。「だからこそ、多くの女性が気軽に参加できるコンテンツ重視の従来型のウエブも残し、間口を広げたい」と言う。

ブランド、コスメといった一つの切り口で目的意識がはっきりした女性を集め、テーマを深堀していくサイトやサロンとは、真逆の発想にある。

MERY木綿の写真
コミュニティを担当する MERY 木綿裕美
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文=中沢弘子 編集=Forbes JAPAN 編集部 写真=西川節子

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