ビジネス

2021.04.11 10:00

アフリカテックベンチャー最新動向と主要4カ国の特徴


市場環境は、たとえば南アフリカなどに比べて、金融セクターが未成熟であり、結果的にフラッターウェーブやペイスタック(Paystack)などのフィンテック企業が結果を出しているとアフリカリーナは分析する。また、ナイジェリアのスタートアップは米シリコンバレーとのつながりも強く、世界的に有名なアクセラレータープログラム、Yコンビネーターに参加するアフリカのスタートアップの半数がナイジェリア出身だ。

ケニア成長のカギ「エムペサ・エフェクト」


一方、ケニアは外国人も多く、ビジネス環境も比較的安定しているため、ケニアのスタートアップは現地拠点で資金調達を行っている。テクノロジー・イノベーションとリープフロッグの代名詞として、長年語られ続け、よく知られているモバイル・ペイメント・サービス「エムペサ(M-Pesa)」の影響も大きいとされる。

この「エムペサ・エフェクト」について、アフリカリーナのパパマ・ニャティ(Papama Nyati)は、次のように説明する。

まず、モバイル・マネーの普及でフィナンシャル・インクルージョンが進み、2007年の27%から2019年の83%にまで拡大した。また、エムペサの普及とサービス拡大は、そのプラットフォームを活用した新たなイノベーションの創出につながり、起業家や投資家に新たな機会をもたらしている。

ただし、ケニアにおけるベンチャーのVC資金調達は、(白人の)外国人起業家が、ケニア人の現地起業家に対して優位な立場にある。ガーディアンの記事によると、2019年、ケニアで100万ドル以上の資金を調達したスタートアップのうち、現地人起業家が率いる企業の割合はわずか6%だ

南アフリカは、外国企業の多くが拠点を持ち、アフリカトップクラスの教育機関があり、金融・株式市場のインフラもある一方で、いわゆる「レッド・テープ」といわれる行政手続きの煩雑さや保守的な規制があり、スタートアップや投資家にとっては好ましい状況ではない。外国人投資家は投資がしづらく、起業家は現地投資家からの資金調達にも苦戦している。

エジプトは、毎年3万人のエンジニア卒業生を輩出しているほか、中東地域のベンチャー・エコシステムへのアクセスという優位性もある。昨年、ウーバーに買収された中東のライドシェア・サービス「カリーム(Careem)」の卒業生が、エジプトで起業したケースもある。

パンデミックの影響は2021年も継続しているが、今後、アフリカ各国でもワクチン接種が進み、2021年後半は、ある程度ベンチャー投資が回復するというのがアフリカリーナの見方だ。アフリカのテックベンチャー投資規模は、2020年の14.3億ドルに対して、2021年は22.5億〜28億ドルになるとの予測だ。

さらに詳しい情報については、アフリカリーナ報告書およびPartech報告書を参照されたい。

文=MAKI NAKATA

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