それによると同社は、エピック・ゲームズが裁判に勝利しアップルのアプリ配信サービス「App Store(アップストア)」の規約を覆せば、アップルはビデオゲーム市場で厳しい競争にさらされ、ゲーム利用者の不利益になると主張する予定であることが明らかになった。アップルは、この裁判がフォートナイトへの関心を復活させるために慎重に管理された広報活動の一環だと繰り返し主張している。
アップルは、5月上旬に予定されている同裁判に先立ってカリフォルニア連邦裁判所に資料を提出し、エピック・ゲームズに対する反論の計画を明らかにした。アップルは、開発企業から同社が徴収している30%の手数料は業界標準だと主張し、反競争的行為だとの疑惑を退けている。
エピック・ゲームズは、10億人以上に上るアイフォン利用者はソフトウエアのインストールのためアップストアの使用が求められ、これがアップルの独占市場になっていると主張。一方アップルは、ゲーム利用者や開発者は複数のシステムでゲームを使用することができると反論し、この主張を一蹴している。
アップルによると、アップストア売り上げに対する30%の手数料はアップストアを通して課されるものだが、ゲーム利用者は他社システムでゲーム内アイテムを購入し、同社システムで使用することが可能だと論じた。
アップルはさらに、アップストアの基盤となるインフラ開発のため数十億ドル(数千億円)を費やしていることから手数料徴収は正当なものだと主張し、フォートナイトはアップストアで提供されていた2年間で、この取り決めによりユーザーから7億ドル(約770億円)以上を得ていたと指摘した。
アップルは、エピック・ゲームズが同裁判とともに派手な広報活動を展開していることも批判した。この活動はエピック・ゲームズ社内で「プロジェクト・リバティー」として知られ、同社をアップルの抑圧と闘う弱者として描くものだ。
世界中で監視や批判が増すアップル
この裁判の結果により、デジタルマーケットプレースの将来が左右される可能性がある。テック系大企業の巨大な影響力を疑問視する調査や裁判は、このほかにも繰り返し起きている。
アップルは、どのアプリが同社の機器で使用できるかを決める管理者としての役割を果たしていることもあり、規制当局からの監視が増しているほか、世界中の開発者や競争監視機関の批判を集めてきた。
欧州委員会(EC)は現在、アップルに対して独占禁止法に関する捜査を4件抱えている。そのうち3つは、アップストアに関するものだ。
エピック・ゲームズは、アップルの商慣習に対する民間セクターの抵抗活動を率いてきた。これは現在、スポティファイやマッチ・グループ、タイル(Tile)などのテック企業を巻き込む、より大きな運動へと拡大している。