移動できない状況が機会に 立教大学観光学部がまとめた「新しい観光」のあり方

調査報告書をまとめた立教大学観光学部西川ゼミのみなさん(撮影:佐藤憲一)


昨年11月、この西川ゼミを聴講する機会があった。ゼミ生たちは4つのグループに分かれてコロナ後の観光について議論を整理し、ホワイトボートに書き出したうえで、それぞれの意見を発表した。

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西川ゼミではグループに分かれて議論した内容をホワイトボートにそれぞれ書き込み、議論する

彼らがアンケート調査から得た結果をもとに見出した新しい観光のあり方は「地元観光」と「訪問先を思いやる観光」というものだった。それらの詳細については、同レポート西川研究室のホームページなどをお読みいただきたい。

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「地元観光」とは何か?

驚いたのは、1年の大半をオンライン授業で行っていたため、学生同士が一緒に教室に集まる対面ゼミは年間でわずか2回だったことだ。ゼミ生たちは西川准教授の指導のもと、アンケート実施や回収、分析、それらを調査報告書としてまとめる作業を、ほぼオンラインでやり遂げたのだという。

以前、このコラムで、日本最高齢91歳の英語通訳ガイド、ジョー岡田氏が実施したオンラインセミナーの話題を取り上げたことがあったが、彼やゼミ生たちに共通しているのは、コロナ禍を切実に受けとめ、もがきながらも前に進もうとする意思があることだ。

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「コロナをきっかけに生まれた価値観をコロナ後も接続させたい!!」

メディアはこの1年、コロナ禍をめぐる経済と感染拡大という葛藤に対しての答えの定かでない議論に終始しているように見える。だが、この状況に「自分ごと」として向き合った人たちだけが持つ知見があるはずで、それに静かに耳を傾けたいと思う。

連載:国境は知っている! 〜ボーダーツーリストが見た北東アジアのリアル
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文=中村正人

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