調達資金で他社の買収に注力
Canvaによると、米国で売上高上位500社のうち、85%が何らかの形でCanvaを利用しているが、全社規模で導入されたケースは少ないという。しかし、Adamsによると、チームがリアルタイムで動画を編集できる機能を追加したことで、最近では全社規模での導入が増加し、顧客にはアメリカン航空やキンバリークラーク、マッキンゼー、セールスフォースなどが含まれるという。
Canvaはパンデミックの最中、主に大企業をターゲットにプレゼンテーション作成機能の提供を開始した。この機能には、プレゼンテーション動画を録画したり、Q&Aセッションをライブ配信する機能が実装されている。
「パンデミックによって、既に起きていたトレンドがさらに加速された」とObrechtは話す。Slackなどのチャットツールを仕事使う人がますます増える中、「プレゼンテーション資料をオンラインで説明する上で、従来のツールでは不十分だ」と彼は話す。
オーストラリアをはじめ、ニュージーランドやアジアの一部では、対面型のビジネスが解禁されたが、Canvaは、コロナ禍でのトレンドが今後も継続すると予測している。ハイブリッドなオフィス環境において、同社が提供する非同期型ビジュアルツールがもたらす効果は大きく、効率性も高まるとObrechtは指摘する。
Canvaは、今回調達した資金を用いて、プロダクト開発人員を増強するとしている。同社では、本社に次ぐ規模の事務所はマニラにあるが、最近ではテキサス州オースティンに事務所を開設し、サンフランシスコでも数人のスタッフを採用した。
Canvaが今回調達した金額は、成長率が3桁増で、利益を出している企業の成長資金にしては小規模だ。資金調達について、Obrechtは2つの目的を挙げる。1つは、従業員や既存株主が持ち株を売却する機会を提供することで、今後も毎年実施していくつもりだという。
もう1つは、企業買収だ。「企業を買収すると、評価が確固としたものになる。買収は、健全な成長の原動力だ」とObrechtは語った。