経済・社会

2021.04.11 07:30

コロナ後の消費行動は、どのようになっていくのか

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かつて経済的危機が起きたときの渦中やその後における、消費者意識や貯蓄率、行動に関する統計を取り上げたニュース記事をざっと読むと、見えてくることがある。それは、「変化の度合いが大きければ大きいほど、最終的に、以前と同水準にまで戻ろうとする力も高まる」ということだ。

経済予測の専門家たちの多くは、今後の消費行動に「輪ゴム効果」が起きると予想している。つまり、新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ経済が、今後は猛烈な勢いで回復すると見ているのだ。こうした急回復の主要な原動力になると見られるのが、一般家庭に貯め込まれている「貯蓄」だ。米国の家計貯蓄率は現在、税引き後の手取り収入の20%を越えており、これは第二次世界大戦以降では最高の水準だ。

2020年第3四半期に関する連邦準備制度理事会(FRB)の報告書によると、この時点で米国の家計が保有していた現金および現金同等物の金額は、パンデミックが発生する直前と比べて、2.9兆ドル増加していた。しかもこの数字には、2021年3月に支給が決まった給付金は含まれていない。

では、米国民はどんなものにお金を使っているのだろうか? それは、安心できる「シェルター」だ。パンデミックの発生時点で、不動産業はすでに好況に沸いていた。その後、都市居住者のうちかなりの数が、それまで住んでいたマンションやアパートを後にして、地方に家を買い求めるようになった。彼らがこうした判断に至ったのは、インターネットがあれば、どこからでも仕事ができるからだ。

全米リアルター協会(NAR)の調査データによると、2020年に全米の中古住宅販売件数は564万件に達し、前年比で5.6%増加した。また、同年12月の中古住宅販売件数は、前年同月比で22.2%増となっている。

現在起きている「在宅勤務や在宅学習」へのシフトは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大する以前からすでに始まっていた。今回のパンデミックは、その転換のスピードを速めたにすぎない。パンデミック発生から1年を経て、在宅勤務はもはや企業にとって常態となっている。

米紙USAトゥデイの報道によれば、フォード・モーターは最近、従業員に対して、より柔軟な働き方の選択肢を提供する「ハイブリッド勤務形態」の施行を発表した。現時点では従業員のうち約3万人が在宅で勤務しているとフォードは述べている。

こうしたトレンドは、家具やインテリアの売上を押し上げている。カードの利用状況から消費者の動向を分析するマスターカード・スペンディング・パルスによると、この分野の売上は、2021年2月だけでも前年同月比で8.6%増となった。

ただし、家具やインテリアの売上上昇というトレンドも、新型コロナウイルスの感染拡大が始まる前から存在していた。その要因のひとつは、ベビーブーム世代が家にため込んでいた不要品を処分し、よりモダンなインテリアに模様替えを始めているという、特定の世代内の動きだ。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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