フランスの次にシャンパーニュを飲んでいるのはどこの国の人?とは、ワイン好きの間でよくクイズにされる話題だが、答えは輸出量換算で1位がアメリカ、2位がイギリス、そして3位が日本だ。
それぞれの人口に比すれば、英国人がどれほどシャンパーニュを好んでいるかがわかるだろう。なかでも有名なのは007ことジェームズ・ボンドであり、シリーズ作品中で数々有名シャンパーニュを飲んできた彼が、今秋公開される最新作で何を選ぶのか、ファンが注目するところだ。
その英国で、いま注目を集めているのが国産のスパークリングワイン。ご存知のように、仏シャンパーニュ地方でつくられたスパークリングワインのみがシャンパーニュを名乗ることができるが、同じようにシャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエ3品種の国産ブドウを中心に、瓶内二次発酵させる伝統的な製法でつくられるワインがイングリッシュ・スパークリングとして、世界的にも人気が高まりつつある。
その背景にあるのは、気候変動だ。これまでブドウ栽培の北限はシャンパーニュ地方にあるとされてきたが、地球温暖化によりそのリミットが英国南部まで北上。また、南部のケント州、ウエストサセックス州、ハンプシャー州の土壌は仏シャンパーニュ地方から続く石灰質であり、気候・風土ともにシャンパーニュ地方に非常に近しいテロワールになったというわけだ。
なかでも世界的に高い評価を得ているのは「ナイティンバー」。ウエストサセックス州を中心にすべて自社畑のブドウを使用し、初めてシャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエの3品種に限定したスパークリングワインをつくったことでも知られている、いわば英国産スパークリングの祖である。
「近年、英国産スパークリングのクオリティはどんどん上がっていますが、『ナイティンバー』はその最高峰。なかでも、このブラン・ド・ブランは繊細かつ豊かなアロマで、プレスティージ・キュヴェにふさわしい存在感です」と語るのは、広尾の隠れ家割烹「こうもと」店主の杉浦康祐だ。
実際、口に含んでみると花や柑橘の香りと、透明感のある味わい、そして長く複雑な余韻が印象深い。そのクオリティと、英国産スパークリングへの注目度の高さから、いつの日か、かのジェームズ・ボンドも「ナイティンバー」を片手にボンドガールを口説いたりして? なんて愉快な妄想に耽ってしまう。
NYETIMBER Blanc de Blanc 2013
容量|750ml
品種|シャルドネ100%
価格|14300円(税込参考小売価格)
問い合わせ|TYクリエイション (www.nyetimber.jp)