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2021.04.10

東京タワーを応援したい。著名人たちが参画する「TTA計画」

会場には「師匠」からの祝花も


クラウドファンディングで支援も


しかし昨年襲ったコロナ禍のあおりで、そのさすがの東京タワーに訪れる観光客も2020年2月頃から減少する。全国の学校が東京への修学旅行を見合わせ始めたのも原因の一端だが、なによりも、全来場者の約4割を占めていた外国人観光客が激減したからだ。展望台への来場者数はコロナ禍前と比較して約80%減少、伴って売上が大きく減ったことはいうまでもない。開業から60年の東京タワーにとってはまさに無先例の事態、昨年末にはクラウドファンディングで支援も募った。

観光・エンタメ業界にとって苦しい状況が続く中、1人の人物の「タワー愛」がその在り方を日本人に問い直している。

「タワーを応援したい」と動き出した冒頭のプロジェクト「『東京タワーで、あいましょう。』計画」(TTA計画)を率いるのは、BJ代表取締役・BJ 笹井氏だ。

BJ氏は多くの有名芸能人をフィーチャーした写真集や書籍の出版を手掛ける出版プロデューサーであるほか、石原裕次郎、松田優作や沢田研二など昭和のアイコンのビンテージポスターのコレクターとしてTV番組などからも声がかかるほどの収集品を有する人物だ。


BJ 代表取締役・BJ 笹井氏

「TTA計画」では、東京タワーの下にある5階建ての商業ビルであるフットタウン3階の「TOWER GALLERY」で各種展示を行い、2階「東京おみやげたうん」にオフィシャルストアを設けて賛同メーカーやブランドからのセレクト商品などを販売するほか、インストアイベントを開催する予定だ。

スクラップ&ビルドされぬモニュメント


BJ氏は、TTA計画では、自らの日本のエンターテイメント界との長年のつながりを利用し、彼らをも巻き込んで日本の魅力を東京タワー発で国内にも海外にも伝えたい、と考えている。

「僕は1968生まれですが、東京タワーはバブルの熱狂もその崩壊も、またその後のリーマンショックという金融危機も同じように見下ろしてきた。もちろん、今回のコロナ禍の風景にも目を凝らしていると思います。訪れてくれる人たちの激減という事態に、自分も見事に巻き込まれながら──。

もちろん、そのような大事ではない、僕たちのささやかな毎日も見守ってくれている。あたり前すぎてふだんは感謝などしない、いわば家族のような存在ですが、東京にそんな東京タワーがあってくれてよかったという思いは、誰にもあるのではないかと考えています」


『Tokyo of TOKYO TOWER 東京タワーと東京の60年』(ギャンビット刊)から。「着々と完成に近づいていく東京タワーと鉄塔に張り巡らされた無数の足場。」「着工から約1年半を経て、昭和33年(1958年)12月に完成。基本的な構造は、60年以上経った今日も変わらず、東京のシンボルとして愛され続けている」

たしかに東京タワーは、まさに雨あられと絶え間なく降り注ぐ「時代の試練」によっても微動だにせず、スクラップ&ビルドもされず、時代をサバイブしてきた。逞しく懐かしい、それでいて実にエッジーなモニュメントでもある。
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文=石井節子

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