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Anuradha Varanasi is a freelance science writer.


中国の武漢では、2020年1月から3月のあいだに採取されたネコのサンプルにおいて、新型コロナウイルスの高い抗体保有率が確認された。これは、主にこの期間にウイルス感染が高頻度で起こっていたためだ。

ヒトから動物への感染事例は、家畜や伴侶動物だけに限らない。米ニューヨーク州のブロンクス動物園では、複数の大型ネコ科動物が呼吸器疾患を発症し、新型コロナウイルスの陽性反応を示した。この際には、ウイルスを排出していた動物園職員の1人が感染源として特定された。

このような事例はあるものの、ペットからヒトへの逆向きの感染は実証されていない。現時点で、動物からヒトへの直接感染が強く疑われる事例は、オランダで養殖されているミンクのあいだで、呼吸器疾患のアウトブレイクが起こった際の1件のみだ。

今回の研究では、リオデジャネイロ市内で約10万人の新型コロナウイルスへの感染者が確認された2020年6月~8月の期間に、ネコ49頭(ペット40頭、野良猫9頭)、イヌ47頭(ペット42頭、野良犬5頭)の計96頭からサンプルを採取した。ペットのイヌとネコのうち約75%は、新型コロナウイルス感染者のいない家で飼われていた。

RT-PCR検査の結果、個体の肛門と鼻腔から採取されたスワブ検体はすべて、新型コロナウイルスのRNAについて陰性を示した。一方、野良猫と野良犬各1頭の血清サンプルからは、ウイルスに対する中和抗体が検出された。

「野良の動物を検査対象に含めることは、都市部における新型コロナウイルスサーベイランスの重要な一面であり、環境汚染の指標として検討に値する」と、論文著者らは述べている。

「このような理由から、ワンヘルス・アプローチ(ヒトと動物と環境の相互作用を重視し、包括的に公衆衛生上の問題に取り組む考え方)に基づく、動物集団を対象とした新型コロナウイルスの研究は必須であり、奨励されるべきだ。とくに重要な点として、今回のデータを見るかぎり、新型コロナウイルス感染症患者の社会的隔離は、予防的措置として維持する必要があり、ネコやイヌなどのペットもこの措置に含めるべきであろう」と、著者らは結論づけた。

なお、この研究の短所として、市内の限られた地域でしかサンプリングが行われていないことや、新型コロナウイルス以外のコロナウイルスの抗体が検査されていないことがあげられる。

翻訳=的場知之/ガリレオ

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