搭乗の代わりに「地上でのサービス利用」が条件
条件2は、「ANAのふるさと納税」「ANAの保険」「ANAの住まい」といった合計11つの対象サービスの中から、ブロンズ会員なら4サービス以上、プラチナ会員なら7サービス以上を利用することが達成条件だ。ダイヤモンド会員の場合、前述の「搭乗による」プレミアムポイントが8万に達すれば4サービス以上、50000ポイントまでなら7サービス以上。
公式サイトによるとたとえば、旅行時、ANAトラベラーズで予約し、ANAカードを利用して空港内のANA FESTAでお土産を購入する場合、「ANAトラベラーズ」「空港内店舗」「ANAカードマイルプラス」の3サービスがカウントされる。各種サービスを組み合わせて利用できるので、案外達成しやすそうだ。
決済力のある層に効果的にアピール
問題は3つ目の条件、「ANAカード・ANA Pay決済額の総額」の金額である。対象期間内の決済額は、ブロンズ会員で400万円、プラチナ会員・ダイヤモンド会員で600万円(ダイヤモンド会員で8万プレミアムポイントに達していれば400万円)が必要。会社の経費や税金の支払いなどをANAカードにまとめる、または、使用期限が10年というAmazonのギフト券を購入するなど工夫が必要かもしれない。
ややチャレンジングな条件だが、決済力のある層に効果的にアピールし、「次に飛ぶときはやっぱりANAで」と思わせたいのがこの策の狙いだろう。それなりのハードルを設けることで、これまでのステイタス保持者の「特別感」を損なうことなく、新たな層をもANAの経済圏に入れようとしている点はなかなか面白い。
コロナ禍前までは学会や視察などでほぼ隔月で海外出張が入っていたという、あるプレミアム会員の大学教授は次のように話す。
「ANAの会員専用ラウンジは搭乗までの時間をちょっと贅沢に過ごせるので必ず寄っていました。フリーのフード類もけっこうおいしいので。また頻繁に飛べるようになった時のためにも、今のステータスは手放したくありませんね」
なんにせよ一度手にいれた「上級ステイタス」は、人の優越感のようなものをくすぐり、放棄したくないと思わせる資格ではあるらしい。