世界を網膜に投影するスマートコンタクトレンズ、Mojoを支える技術

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専用OSである「eye OS」を開発中


Sinclairによると、Mojoは「最適な情報を最適なタイミングで取得する」ためのデバイスだという。例えば、縁石やドアに線や輪郭を追加するといったコントラスト強調や、人物や顔のハイライトなどが良い例だ。他にも、看護師への注意喚起情報の提供や、保守技術員に対する製品仕様や指示の提供、救出業務中の消防士に対する地図や指示の提供などが挙げられる。

スマートコンタクトレンズが目指すのは、他のデジタル製品のように通知を送信するだけでなく、現実世界で実際に役立つ機能を提供することだ。

「我々は約2年前に、ステルスモードから脱する頃に、“インビジブル・コンピューティング”(目に見えないコンピューティング)という言葉を生み出した。テクノロジーを不可視にするという意味で、我々がこのカテゴリーを作り、リードしていきたい。我々は、不要なときは目に見えないが、いざというときにはすぐ現れるようなソシューションを開発したい」とSinclairは述べた。

つまり、Sinclairが目指すのは、スマートフォンやVR/ARヘッドセット、スマートグラスとは異なり、ディスプレイを介在させる必要のないテクノロジーだ。

Mojoは、「eye OS」という、新型コンピューティングプラットフォーム専用のOSを開発中だ。eye OSは、眼球の観察や血液の分析、疲れや頭痛の検知などができ、ヘルステック業界においてiOSやAndroidにとって代わる存在になるかもしれない。

Mojoの商用リリースは、まだ確定した訳ではない。また、医療製品であることから、FDA(米食品医薬品局)の認可も必要になる。現在、Mojoは現行のプロトタイプをテスト中で、夏には次世代製品が完成する予定だ。筆者は、ベータテストのボランティアに応募した。

編集=上田裕資

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