ビジネス

2021.04.09

日本からの参加はゼロ。今年のY Combinatorデモデイでの気付き

Morsa Images/Getty Images


確かに日本のスタートアップエコシステムも、近年かなり進化してきていることは間違いない。特にメルカリなどの大型IPOがあったり、SmartHRなどアメリカの機関投資家から投資が入ったりするなど、昔から日本のエコシステムを見てきた人間からすれば、かなり成長したとも思える。

とはいえ、この成長は、これから少子高齢化が加速する厳しい経済環境のなかで本当に持続可能なものなのだろうか?

NVCA(National Venture Capital Association)による日米中の2020年のベンチャーキャピタル投資動向比較によれば、アメリカと中国は、昨年コロナ禍でも投資金額を対前年比で伸ばしてきている。しかし日本は、約30%減と大きく投資金額を減らしているのだ。日本のスタートアップがグローバルの動きについていけているのかという観点において、とても不安にならざるを得ない。

では、グローバルに展開するYCに来るような日本のスタートアップを増やすためには、何が必要なのか? 言語の壁、文化の壁、教育の壁など、今後の課題を挙げればきりがないのだが、最近、これに対して希望が持てる出来事があった。

先日、ある若者から10年ぶりくらいに連絡があった。彼の父親は商社マンで、10年前スタートアップの投資を行うために、一家でシリコンバレーに赴任して来ていた。家族ぐるみで仲良くしていたので、彼のことは中学生だった頃からよく知っていたのだが、いまシリコンバレーに来ているので話がしたいと連絡してきたのだ。

彼は、いまは大学を休学して、自らスタートアップを立ち上げていた。経済学部でありながら自分でプログラミングをやっていて、DevOpsというシリコンバレーでは近年ホットになっている領域で、新しいツールを1人でつくっていた。彼は、YCの次回の夏のバッチ(クラス)に応募すると言うのだ。

こうして日本を飛び出して頑張っている若者は、他国に比べると数は少ないが、他にもいる。そんなアグレッシブなアントレプレナーたちを応援したいと考え、私たちPlug and Play Japanはポッドキャストのシリーズを始めた。彼らや彼女たちの話を聞いて、1人でも多くの次世代の日本の若者たちも刺激を受けて欲しい。そして、日本を飛び出し、世界に羽ばたく起業家になって欲しいと願っている。

連載:スタートアップのすゝめ
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文=村瀬 功

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