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スタートアップのすゝめ


当時のアメリカにおけるデリバリー業界は、すでにGrubhubが上場していたり、同じくYC出身のInstacartやDoorDash、Uber Eatsなどが急成長したりしていた頃だが、南米ではまだ未開拓の領域だった。Rappiは、これらのスタートアップのアメリカでの成長から学びを得て、南米独自の市場特性に合わせたサービスを開始した。

Rappiのその後の急成長には目を見張るものがあった。南米全域にサービスを拡大するのみならず、やがてデリバリー業界を超えて近接の業種へも次々とサービスを拡大していった。ショッピング、エンターテインメント、トラベル、ペイメント、金融サービスなどあらゆる領域に進出し、現在はトータルの資金調達額で南米No.1のスタートアップとなっている。

そして印象的だったのは、今回のYCのデモデイでは、このRappiの元社員が何人もファウンダーとしてピッチに参加していたことだ。

スタートアップ・エコシステムの発展に必要不可欠なのは「人」「金」「知識」の循環だ。成功した人が、また新しく創業する、エンジェル投資家として出資する、アドバイザーとして知識を次世代の起業家に伝える。そして、彼らから恩恵を受けた次世代の起業家たちが、また成功して次の世代に貢献する。

こうした循環が、何十年も積み重なってでき上がったのがシリコンバレーのエコシステムだ。そしていま、この循環がYCを通じてグローバルでも起こりつつある。

今回ピッチしていた元Rappiの社員たちは、YCを通じてグローバルの投資家とつながり、YC卒業生のコミュニティから知識を吸収し、それを糧に地元南米でビジネスをスケールさせていく。南米ローカルの閉じたなかでやるよりもはるかに大きなリソースを手にしたことで、彼らの成長が大きく加速されるであろうことは疑いの余地がない。

こうして彼らが成功すれば、またそこから新しくスタートアップが誕生し、YCに帰ってくる。YCから成功するスタートアップが増えれば増えるほど、世界中の優秀な起業家をさらにYCへと引きつけることとなる。こうしてYCはいま、グローバルなスタートアップエコシステムを発展させる原動力になっているのだ。

日本からの参加はゼロ


ただ、残念だったのは、今回のデモデイには、日本からの参加がゼロだったことだ。近隣のアジアの国を見回してみても、中国はもちろんのこと、韓国、インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、ベトナムと軒並み参加しているのに、日本のスタートアップの姿はなかった。

YCが始まった2005年まで遡っても、日本からの参加はこれまでにわずか2社。日本からアメリカへのMBA留学生も減少傾向にはあるが、本当にこのままで大丈夫なのだろうかと心配になってくる。

文=村瀬 功

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