こうしたクライアントの多くは、マッサージの仕事は自分で選んだものだと話すが、移民女性の多くにはほかに選択肢がないとシェは指摘する。中国人クライアントの多くは、違法マッサージ店での仕事について「メイバンファ」、つまり「しかたがない」ものだったと語るという。
マッサージ店で働くことは、たとえ性的サービスがない仕事でも、危険と隣り合わせだ。人身売買の専門家メルマンオロスコによれば、マッサージ師の資格を持ち働く女性の大半が、客からハラスメントを受けた経験がある。
さらに、違法マッサージ店で働く女性の非常に多くが、性的暴行の被害に遭っている。先述のニューヨークとロサンゼルスでの調査では、対象となった女性の40%が職場でレイプ被害に遭ったと答えた。だが、滞在許可のない移民女性の多くは強制送還を恐れ、警察に通報しない。
こうした状況では移民が弱い立場に置かれることから、セックスワーカーや支援団体の多くは、売買春の非犯罪化を訴えている。そうなれば、当事者が逮捕や強制送還を恐れることなく、安全に稼ぎを得られるという考え方だ。
ジョージ・ワシントン大学のロナルド・ワイツァー教授(社会学)も、性産業の合法化は問題解決のための最善策だと考えている。「セックスワークを合法化し規制すれば、当事者全員にとってより安全な仕事となり、人身売買を減らせる可能性がある」とワイツァーは語った。