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2021.04.06 06:30

ネスレ傘下ブランド「大豆チキン」を拡充 コロナで健康志向に拍車

(c)Sweet Earth

ネスレの傘下で植物性加工食品を手がける米スイート・アース(Sweet Earth)は、大豆で鶏肉を再現した「マインドフル・チキン」ブランドで新たに3種類の商品を売り出す。米国人は伝統的に鶏肉好きだが、最近は大豆などを使った代替チキンの人気も高まっており、各社が新商品を投入している。

スイート・アースは10年ほど前にブライアンとケリーのスウェット夫妻によって設立され、2017年にネスレに買収された。ヴィーガンやフレキシタリアン(基本は植物性食品を食べるが、ときには肉や魚も食べる柔軟なヴェジタリアン)向けの商品を開発し、冷凍のブリトーやピザ、植物由来の人工肉ハンバーガー「オーサム・バーガー」、植物で牛挽き肉を再現した「オーサム・グラウンド」など75種類以上の商品を展開している。

マインドフル・チキンのシリーズには、オリジナルのこま切れのほかに、そのチポトレ風味バージョン、細切りのものをプルコギ風とカルニタス風にそれぞれ味付けしたバージョンの計3種類の新商品が加わった。希望小売価格は約230グラム(2.5食分)入りで7.99ドル(約880円)となっている。

ネスレで植物ベースの代替肉の商品開発を担当するライアン・リドルは、「(新型コロナウイルス感染症の)パンデミックの前から、鶏肉はおそらく米国で最も人気の肉でした。マインドフル・チキンやオーサム・バーガーの売り上げも、パンデミックの前から伸びていました。そして、パンデミックの間、人々は以前よりもさらに健康を意識するようになっています」と説明する。

リドルによると、人々が植物ベースの代替肉を求める最大の理由に挙げるのも「健康」だという。植物由来の代替肉は、コレステロールはゼロで食物繊維はたっぷり含まれる。また、パンデミック中には自宅調理の需要も高まっており、スイート・アースの新商品はそれに対応するものにもなっている。同社は「新商品を市場に出すのはいまが最適」(リドル)と判断したという。

スイート・アースの創業者夫妻は現在は会社から身を引き、新商品の開発はリドルのチームが統括している。同社では、初期バージョンの商品を出したあと、消費者からフィードバックをもらい、それを踏まえて新バージョンを出すという方式で新商品の開発・発売を行っている。

調査会社のマーケッツアンドマーケッツによると、植物由来肉の世界市場規模は現在のペースでいけば向こう4年以内に83億ドル(約9100億円)に達する見通し。非営利団体のグッドフード・インスティテュートによれば、2019年末までに、米国の大手食肉企業10社のうち9社が植物由来肉のブランドを立ち上げるか買収しているという。

編集=江戸伸禎

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