私が勤める米アマゾンでも、着任直後の2020年3月から、ほぼ全社員を対象にリモートワークに移行。1年が経った今でもフルリモートワークは継続しています。現時点では、今年の7月から出社が段階的に再開される予定です。
この間、私は日本や米国に身をおきながら、事業部長として各地に点在するチームをまとめ、新しい仲間を迎えてきました。パンデミック以前と比べると、イノベーションやコミュニケーションの点で課題を感じる部分はありますが、反対に、リモートワークには、場所や時間を問わない柔軟な働き方が実現でき、より快適に、効率的に働けるというメリットも感じています。
そこで今回は、私がこの1年間で実践してきた、リモートワーク下でのマネジメントのポイントをご紹介します。
コーヒーチャットで非公式のコミュニケーションを増やす
リモートワークで感じる課題のひとつに、社員間でのコミュニケーションの希薄化が挙げられます。出社していた時には、給湯室や社員食堂などで他部署の人と話す機会や、趣味や家族のことなどを話す時間がありましたが、リモートワーク中には、ともすれば必要最低限の業務連絡にとどまりがちです。
そこで、私が働く部署では、毎週コーヒーチャットやワインデーを設けて、軽食やお酒を交えながら、趣味や最近気になるニュースなどの話で盛り上がるカジュアルな会を開催しています。
ポイントは、任意参加であることと勤務時間内に行うこと。強制ではありませんが、毎回コーヒーチャットは5名ほど、ワインデーには20〜30名が参加し、息抜き、非公式なコミュニケーションの場として好評です。
また、全員が参加する定例ミーティングでは、冒頭に5分ほどのゲームを導入しています。最近では、メンバーに本人が写っているが誰だか分かりにくい写真を用意してもらい、それが誰なのかを当てるゲームが人気です。四半期ごとに集計し、正解が多かった人には景品を用意しています。
非公式のコミュニケーションは、すぐに仕事の成果に繋がらずとも、長期的な視点に立ったときに組織の足腰を強くしてくれます。
効率化とは逆行するようにみえますが、たまには「最近どう?」という他愛もないチャットを送ることもオススメです。
「ノーミーティングデー」や「オフィスアワー」で時間への感度を高める
アマゾンのミーティングは、30分が基本です。「とりあえずこの人も加えて、話を聞いておいてもらおう」という考えはなく、必要なメンバーに厳選して効率よく進めます。リモートワークに移行してからも、この基本は変わりません。
私は1日に、少ない日には2〜3の、多い日には10ほどのミーティングに参加しています。30分ごとに頭を切り替えるのは、物理的にも心理的にもハードなため、30分の会議は5分早く切り上げるのがポイントです。たったの5分ですが、セットアップやリフレッシュの時間をつくるといった、相手の時間に対する配慮を心がけています。