ビジネス

2021.04.10

入社後1年出社なし。アマゾン事業部長が実践するリモートワークのマネジメント

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こうしてミーティングに1日を費やしていると、自分自身の時間の確保ができなかったり、次第にクリエイティブな発想が生まれにくくなったりしてしまうのですが、それを避けるために、私が働く部署では、水曜日の午前中と金曜日の午後を「ノーミーティングデー」とし、会議を一切入れない時間をつくっています。リモートワークならではのリラックスできる環境下で、それぞれが作業に集中したり、ゆっくり考えを深めたりする時間として重宝しています。

また、仕事中に分からないことがあった場合、気軽に質問ができる人の存在はありがたいのですが、質問を受ける立場からすると、都度自身の業務の手を止めなければならないため、ときに自分の仕事の妨げになることもあるでしょう。

アマゾンには「オフィスアワー」という時間が、ファイナンスやマーケティングなどの各分野ごとに設けられており、不明なことがあれば、その分野のオフィスアワー内に個別で質問することができます。オフィスアワーの活用が習慣づけられると、オフィスアワー外に、誰かの時間をむやみに奪うことはありません。

反対に、誰に聞いたら良いかが明確なので、質問のタイミングや誰に聞いたら良いかが分からず結局聞けないままという状況を防ぐというメリットもあります。

その他、時差のあるメンバーには時間指定ができる予約送信機能を使ってメールを送るなど、相手の時間への感度を上げることは、リモートワークで特に気にしていることのひとつです。

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顔出し推奨とチャットの活用で、オンラインミーティングを快適に


私が働く部署では、少人数(10人以下など)のオンラインミーティングでは顔出しを推奨しています。国際色豊かなメンバーで、母国語も異なるため、顔が見えた方がコミュニケーションが円滑に進むというのもありますが、表情や仕草のような非言語コミュニケーションの重要性を感じていることも大きな理由です。

部屋を見せたくない時には背景画像を設定するなどの工夫をし、できるだけビデオオンを推奨していますが、それぞれの状況を考慮し、メンバーに無理強いはしないようにしています。

また、チャットボックスの活用はオンラインミーティングを快適に進める手段のひとつです。対面でのミーティングに比べると、オンラインミーティングは議論が活発化している最中にカットインするハードルが高まります。そのため、質問や提案は、誰でも思い浮かんだときにチャットボックスに書き込めるよう、私自身も積極的に活用しています。

文字情報によるコミュニケーションも活用することで、意見を出すハードルが下がり、より多くの意見を拾うことが可能になりました。個人的には、英語で議論が白熱するとカットインが難しい場合も多いので、書き言葉で伝えたいメッセージを補強できることでとても助かっています。
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文=伊藤みさき 構成=竹崎孝二

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