奇跡の一本松と伐採された御神木 日系3世のチェロ奏者が音色に込めたこと

アーティストであり、チェロ奏者のベンジャミン・スケッパー


音楽家への転身 多様な分野を融合して新しい息吹を


主に国際法や人権法を勉強して、大学在学中に国際弁護士事務所で1年間働きながら弁護士の資格を取得すると、事務所を辞めた。その後も一時は国際弁護士の道を進んだが、前述のようにリーマンショックを機に本格的にアーティスト兼チェロ奏者に転身し、各国で演奏活動をしてきた。

新プロジェクト「OUR STORY by BENJAMIN SKEPPER:FOR OUR FREEDOM in Iwate 」では、現代アーティストのプロダクション事業を展開するHARTiと組んで、陸前高田で撮影したドキュメンタリー映画の製作も進めており、そのため祖母のルーツがある広島など日本各地でもドキュメンタリー製作と演奏活動を計画している。ベンジャミンが抱負を語る。

「環境やアート、カルチャー、自然、まちづくりなど、未来を生きる若い人たちが抱える問題をどう解決すべきか。被災地ではまちづくりに住民の声があまり反映されていない、行政トップダウン方式の限界を感じました。現地の人たちと語り合う場を設けて、音楽とアート、メディアのパワーで新しいムーブメントをリードして行きたい」

このほかにも、4月16日~18日には、東京都千代田区にある登録有形文化財の「kudan house(九段ハウス)」で、新感覚のアートと食のイベント「A Taste of the Senses」を開き、ライブパフォーマンスなどをする。

ベンジャミン・スケッパー
音楽やアートなどの力で「新しいムーブメント」を起こしたいと意気込むベンジャミン。どんな活動を展開していくのか

そして、ベンジャミンは自分の立ち位置を次のように考えている。

「アーティストは、社会から切り離された存在ではなく、社会の一員なのです。音楽やアート、法律、ビジネスなど多様な分野を融合することにより、人類が豊かになる。被災地で暮らす人たちと一緒にローカルコミュニティを軸に輪をつくっていくことは、そのひとつです」

ひとつの職業に縛られず、多分野を自由に行き来するベンジャミンの今後のプロジェクトに期待したい。

文=督あかり 写真=Christian Tartarello

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