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2021.09.09

「心理的安全性」を導入する際に、やるべきこと・やめるべきこと

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Step1:仲間づくりと宣言

チームの規模にもよるが、リーダーという立場があったとしても、一人で心理的安全性をもたらす取り組みをすることは難しい。心が折れないよう、初期段階で仲間づくりを行うことが有効だろう。

部長であれば部長補佐や課長、課長であれば係長や主任など、リーダー寄りのポジションや、信頼できる右腕のように感じているメンバーを巻き込んでもいいだろう。チーム内にすぐに見つからないようであれば、別部署の管理職を巻き込むことを考慮に入れてもいい。お互いの進捗を相談しながら前へと進みやすいからだ。

仲間と相談しながら、まずはチーム全員に心理的安全性を導入する旨を宣言しよう。言い切ることが難しい場合は「心理的安全性のあるチームが、この部署にも適しているかどうか試したい」というような言い方で、トライアル的にやってみるのも良いだろう。

Step2:自分自身を振り返る

宣言と前後して、自分自身のマネジメントにおける行動を振り返ることが重要だ。多くのリーダーが「部下・メンバー・若手から意見が出てこない」ことを憂うが、その原因の一部はリーダーである自分自身にあることに自覚的な人は少ない。

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このことは、立場を変えて考えてみると分かりやすい。自分自身が部下や若手の立場にあった時、リーダーからどのように接されただろうか。あるいは今現在も、さらに上位の役職者からどのようなマネジメントや対応を受けているだろうか。その中で心理的安全性が毀損されたとき、例えば「そんな言い方をされたら、率直な意見が言いづらい」「そんな不機嫌そうな表情だと、質問したくても難しい」と感じたときはなかったか。

「自分がされた時、心理的安全性が下がった反応」、それを自分がしていないかどうか自覚し、行動を変えていくことが、管理職としてチームへ心理的安全性を構築する際の一丁目一番地となるだろう。

Step3:4つの因子に紐づく行動を活性化する

前Stepまでのセットアップが終われば、あとは宣言したことを守り続けるとともに日本企業に実装する際に必要な「心理的安全性 4因子:(1)話しやすさ (2)助け合い (3)挑戦 (4)新奇歓迎」(前回記事を参照)に紐づく、ひとつひとつの行動を活性化していこう。

例えば「1. 話しやすさ」因子を上げるには管理職抜きでディスカッションしてもらい、結果を発表してもらう、という取り組みも役立つだろう。「2. 助け合い」では、管理職・リーダーはあらゆる面で部下より優れていなければならない、といった幻想を手放し、むしろ管理職がメンバーに頼る・助けてもらうことを通じて、メンバー同士の助け合いも促進できるかもしれない。

Step3を継続する中で、ひとつの注意点がある。多くの管理職(そして多くの教師、多くの親)に共通する誤解である。
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文=石井遼介 編集=長谷川寧々

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