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2021.09.08

グーグルが広めた「心理的安全性」 日本企業に必要な4つの因子とは

Getty Images


「心理的安全性」というコンセプトを、実ビジネスの世界で広めたのはグーグルの功績だ。

2016年、ニューヨークタイムズ マガジンでグーグルの5年間にわたるプロジェクトが紹介された。「プロジェクト・アリストテレス」と名付けられたそのプロジェクトにおいて「最高のチームをつくる5つの要因のうち、最も重要なのが心理的安全性」であり、「誰がチームに居るかよりも、どのようにコラボレーションしているかの方が、チームの成果にとって重要」と発表された。

そのため「グーグルが発見した」と言われることもあるが、実はアカデミアで心理的安全性というキーワードが登場したのは1965年と半世紀以上も前のこと(Shein, et al. 1965)。最近ブームのバズワードなどでは決してなく、アカデミアで重要度が理解され研究され続けているコンセプトなのだ。

実際、論文検索サイトGoogle Scholarで"Psychological Safety”と検索すると、1965年から1998年までに1850本の論文が、2021年までに2万4000本もの論文がヒットする。そのため、「グーグルが検証・再発見した心理的安全性」という表現がフェアな表現だろう。

心理的安全性という概念が多くのアカデミアで研究される中でも、グーグルが引用した論文の著者、ハーバード大学のエイミー C. エドモンドソン教授は、この領域の世界的な第一人者と言っていいだろう。彼女が2018年に上梓した書籍『恐れのない組織』は、日本でも今年2月に翻訳版が出版されている。

エドモンドソン教授の提唱する「チームの心理的安全性」は、アカデミアでは次のように定義される概念である:「対人関係のリスクをとっても安全という、チームに共有された信念のこと」(Shared belief that the team is safe for interpersonal risk taking. Edmondson 1999)。

もう少しビジネス向けに噛み砕いて表現するなら「地位や経験にかかわらず、誰もが率直な意見や、素朴な疑問を呈せること」ということになるだろう。

心理的安全性 4つの因子


筆者ら、ZENTechおよび慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科の研究チームでは、これまで1万名以上の日本の組織人を調査し、日本で組織・チームへ心理的安全性を広めるにあたってのフォーカス・ポイントを見出した。(1)話しやすさ (2)助け合い (3)挑戦 (4)新奇歓迎という「心理的安全性 4つの因子」である。
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文=石井遼介 編集=長谷川寧々

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