醸造家のアレックス・スチュワート(Alex Stewart)氏はこう説明する。
「ブドウ畑のある内陸部は、日中は気温が上がりますが、朝晩は冷え込み、昼夜の寒暖差が激しい場所です。そのため、ブドウの成熟は比較的ゆっくりと進み、適度な酸味も保たれます。ワシントン州は、伝統的なワイン産地と、新しいワイン産地の双方の良いところを取り入れ、ブドウの栽培に適したテロワールがあり、可能性のあるワイン産地です」
荘厳なボルドー・ブレンドの赤ワイン
クィルシーダ・クリークのフラッグ・シップが、過去に何度もパーカー・ポイント100点を獲得した「カベルネ・ソーヴィニヨン・コロンビア・ヴァレー」だ。
カベルネ・ソーヴィニョン100%で、シャンプー畑などワシントン州の銘醸畑からのブドウをブレンドしている。輝きのある深い紫色の外観で、ブラックベリーやカシスといった黒系果実にオーク樽のニュアンスが溶け込んでいる。重厚で骨格があり、牛フィレのステーキなど肉料理との相性は抜群。少しハーブのような清涼感も感じられるのは、標高が高い畑からのブドウもブレンドしているからだ。
「CVR コロンビア・ヴァレー」は、セカンドラベルの位置付けで、カベルネ・ソーヴィニョンをベースに、メルローやカベルネ・フランをブレンドしている。チェリーなどの赤系やブルーベリーの果実に、なめらかで心地よい舌触りで、若いうちから楽しめる造りだ。トマトソースのパスタやピザなどと一緒にカジュアルに楽しんでも良いだろう。
クィルシーダ・クリークは、プレミアム価格のワインに焦点を当てたワイナリーだが、ワシントン州のワインは、白赤ともに、お手頃な価格帯のワインも充実している。目にすることがあれば、ぜひ試してみてはいかがだろうか。
島 悠里の「ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座」
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