パーカー100点満点に輝いた、ワシントン州のプレミアム・ワイン

カベルネ・ソーヴィニヨン・コロンビア・ヴァレー

カナダと国境を接する西海岸沿いのワシントン州は、カリフォルニアに次ぐ、米国第二のワイン産地だ。特に、カベルネ・ソーヴィニョンから優良な赤ワインを生み出している。

ワシントンの名声を高めている代表的な造り手が、今回紹介する「クィルシーダ・クリーク」。著名なワイン評論家のロバート・パーカーが創刊した「ワイン・アドヴォケイト」誌から、カリフォルニア以外のワイナリーとしては初めて100点満点の評価を得るほか、数々の国際的なワイン品評会で賞を獲得し、世界的に高評価の赤ワインを造る生産者として、注目を集めている。

「クィルシーダ・クリーク」

ロシア皇帝のためのワイン造り


クィルシーダ・クリークは、1978年に設立された、ワシントン州で最も古いワイナリーの一つだ。現当主のポール・ガリツィン氏の両親が、カリフォルニアからワシントンに移住し、この地でワイン造りを始めた。

ガリツィン家は、1917年のロシア革命でフランスに亡命した貴族で、その後、アメリカに渡った。その先祖を辿ると、ロシアのワイン造りの進展に貢献した功労者として名を残しているレヴ・ガリツィン氏に行き着く。氏は、かつてロシア皇帝に献上するためのワインを醸造していた。ガリツィン家にはワイン造りの血が受け継がれていると言える。

ワシントン州のワイン産地
ワシントン州のワイン産地

ワイナリーは、シアトル近郊に拠点を構えているが、原料のブドウは、内陸部で栽培されている。シアトルといえば雨がよく降る印象があるが、大半のブドウ畑は、南北に走るカスケード山脈を越えた場所にある。そこは、山脈が海からの影響を遮断し、雨が少なく、乾燥した半砂漠の土地だ。ブドウ栽培に必要な水は、コロンビア川からの灌漑で賄うことができ、健全な状態のブドウが育つ。

地勢や土壌が多様で、いろいろなブドウ品種が栽培されているが、温暖な気候のため、特に、カベルネ・ソーヴィニョンやメルローといったボルドー品種の栽培に適している。

その特性を活かし、クィルシーダ・クリークは、ボルドー・ブレンドの赤ワインに焦点を置く。品質を高める秘訣は、「選別」にあると言う。優良なブドウが育つ畑を選び、完璧な状態のブドウのみを使用するなど、あらゆる段階での選別が、最終的なワインの品質を支えている。
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文=島 悠里、写真=ワイナリー提供

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