ルーフも窓もない2億円のマクラーレンが登場した、その走りとは?

マクラーレン エルヴァ


ドライバーがなるべく快適に乗れるように、マクラーレンは世界初の技術を搭載した。マクラーレンによる「アクティブ・エア・マネージメント・システム」(AAMS)が、空気の流れを操作することでパッセンジャーを保護するとしている。これは、エア・バブルというか、バーチャルなウィンドスクリーンと呼んだ方が良いかもしれない。つまり、速度45km/hを超えると、ボンネットの中央から「板」みたいなパネルが上がってきて、風を避けてくれる仕組みだ。

セルヴァの走行シーンAAMSの閉じている写真

AAMSが作動するとボンネット部分に風除けのためのプレートが現れる(下写真)

セルヴァAAMSの作動している写真

実際に作動してみたら、確かに出ている時と出ていない時の差は大きい。それが出ている時でももちろん風が当たるけど、だいぶ少ない。僕の経験で言えば、80km/hほど出していて、そのパネルが出ている時に顔に当たる風は7割ほど減って車内で会話ができる程度だ。

内装も全て新しい。シートは滑らない素材でできているし、インテリアはカーボンファイバーだらけ。また、メーターはフルデジタルで、ドライブモードは3つ付いているので、その時の気分に合わせてスイッチすれば良い。でも、面白いことに、ヘルメットを被っていても、被っていなくても、120km/h以上出ていると、風のおかげでエンジンの音は聞きづらくなるので、いつシフトすれば良いかは「感」で決める。でも、そう言う運転スタイルも意外に幸せ。

エルヴァの内装の写真

ブレーキはカーボンセラミック製で、キャリパーは熱を逃すチタニウム製になっているので、ハイスピードからの急ブレーキでも、制動力は絶対に衰えない。これじゃまるでレースマシンのようなブレーキシステムだし、しかもペダルフィールは格別。

世界149台限定の同車だけど、日本に上陸する台数はおそらく10台ほどだろう。乗ってみた感想は、エルヴァはリアルワールドでは、全く実用性のないクルマだと感じたけど、ピュアに思う存分、制限なしで走りたい人なら、夢のクルマに違いない。

国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
「ライオンのひと吠え」過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

ForbesBrandVoice

人気記事