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国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

マクラーレン エルヴァ

「エルヴァ」は、マクラーレンが今まで作った中で最も過激でワイルドなクルマだ。ウィンドースクリーンやルーフを持たないこのオープン2シーターは、超ピュアで究極のドライバーズカーといえる。同モデルは「セナ」「セナGTR」「スピードテール」に続く「アルティメット・シリーズ」の第3弾にあたり、世界限定149台のみが販売される。価格は気になるだろうから、早くお教えしよう。生産国の英国で、143万ポンド、というと、およそ2億円。

先日、袖ヶ浦フォーレスト・レースウェイで試乗するチャンスを与えられたので、インプレッションをお伝えしよう。

同レースウェイのパドックに現れたエルヴァはまるで一般道を走る宇宙船のようだった。カーボンファイバー製モノコックのエルヴァは、史上最も軽いマクラーレンの量産車。エルヴァの車重1148kgより軽いのはマクラーレンのF1マシンだけ。ウィンドスクリーンがないと言っても、実はライバルがあった。フェラーリ・モンツァとアストンマーチョン・スピードスターなどだ。それらは値段的にも似ているし、パワー的にも近いけど、エルヴァは若干速い。

エルヴァを俯瞰してみた写真

エルヴァの乗り味はどう表現したらいいのか。マクラーレン・セナとゴーカートが子供を作ったらエルヴァがきっと生まれるだろう。と言うことで、セナの4リッターV8ツインターボと同様なエンジンをリアミドシップに積んでいる後輪駆動。馬力は815PSと15PSアップしているし、最大トルクは800Nm。そして7速DCTのシフトフィールは素早く申し分ない。0-100km/h加速は2.8秒で、0-200km/hは6.8秒。そして最高速は327km/hというとんでもないマシン。

言うまでもなく、加速感は爆発的で、V8の吠え方もやみつきになる。パドルのシフトも非常にクイックでエンジンと完璧にマッチングしているし、ステアリングはピンポイントでちょうど良い重さ。しかも乗り心地は、10年ほど前に登場したMP4-12Cのしなやかさと変わらない。サーキットでは数周しか走らなかったけど、クイーンが自分のまん前で「ボヘミアン・ラプソディ」をフル・ボリュームで演奏してくれると同じ快感だと解釈した。「楽しい」を超えている。

当然、ウィンドスクリーンがないので、一般道で走るならヘルメット装着は不可欠だと思う。マクラーレン本社は、「ヘルメットの使用はドライバー次第」だと言うけど、飛び石などを考えると、僕はフルフェースを被った方が良いと思う。アメリカでは、同僚がヘルメット無しで山道を走っているのを見て驚いた。「凄く楽しいけど、自分の前で別のクルマに走って欲しくないね」と彼は言っていた。ヘルメット有り・無しで乗ってみたけど、無しの場合はもろ外界に晒されているので、ローラコースターのように風をそのまま受けて、超気持ちが良い。でも、風が顔に直接当たるので、70km/h以上だすと、風の力で顔が歪むのに気づく。ちゃんと口を開けて話せなくなる。飛び石から目を守るために、マクラーレンはオーナーのために、専用サングラスやフルフェースのヘルメットを2個用意している。でも、正直なところ、雨の日には乗りたくないクルマだね。残念ながら、僕が乗った時はあいにくの小雨だったので、フル加速は試せなかった。

文=ピーター・ライオン

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