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2021.04.05 08:00

バブル崩壊とリーマンショックをサバイブした元CFOが選ぶ「絶望を希望に変えた2名著」

『読書大全』(2021年4月、堀内勉著、日経BP社刊)

『読書大全』(2021年4月、堀内勉著、日経BP社刊)

堀内勉氏。東大法学部からハーバード大学法律大学院に進み、日本興業銀行、ゴールドマン・サックス証券を経て、森ビルCFOも務めた金融と不動産の世界では知る人ぞ知る存在である。現在は各種NPOや学校法人の理事・評議員、社外取締役、アドバイザーなどを務めながら、成毛眞氏が代表を務める書評サイト「HONZ」でレビュアーとしても活動する博覧強記の教養人であり読書人だ。

堀内氏が森ビルCFOだった当時、世界の経済界はリーマンショックに襲われた。氏も1兆円を超える自社債務を整理するため、恐怖と闘いながら資金繰りに奔走した経験を持つ。さらに遡っては、20世紀末、バブル崩壊に始まる日本の金融危機に際して、興銀の行員として、経営企画の現場で自行崩壊の悪夢を経験したこともある。

そんな氏は、このたび上梓した『読書大全』(2021年4月、日経BP社刊)の「はじめに」で次のように書く。

「たび重なる金融危機に巻き込まれ、多くの苦しみを味わったことも、少し時間が経って冷静に振り返ってみると、あの時のあの判断は正しかったのか、もっと別の選択肢があったのではないかなど、さまざまなことを反芻してみるようになりました。そして、これまでは自分を取り巻く環境のことばかりに注意が向かっていて、自分の身に降りかかる不運を嘆いてばかりいたのが、それを受け止める自分自身のあり方というのはどうだったのかを考えるようになったのです。(中略)(そして、)これまでの自分の読書体験を語るとともに、読書の大切さを今のビジネスリーダーたちにも、是非、理解してもらいたいと思い、人類の歴史に残る名著についての本を出版することにしたのです。(中略)(そうした)読書体験は、皆さんが重大な経営判断や経営危機に直面し、人生の岐路に立たされたとき、そして自分とはなにか、自分が本当はなにがしたかったのかを改めて考えてみなければならないときに、必ずや、一筋の光明になると信じています」

東西の金融危機という修羅場、土壇場、正念場をサバイブした堀内氏が、どうやって「読書」によって絶望から希望の光を見出したか。そして、ビジネスリーダーに求められる読書とは。

ここでは、ビジネスリーダーにとって「常日頃から人間としての練度を高めておく、つまり人間としての基礎体力や体幹を鍛えておくという意味において」必要な良書の中から2冊についての書評を『読書大全』より抜粋引用し、堀内氏による、Forbes JAPAN読者諸氏のための書き下ろしメッセージとともに掲載する。


「わたしたち自身が問いの前に立っているということ」:ヴィクトール・フランクル『夜と霧』


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『新版 夜と霧』(ヴィクトール・フランクル著、池田香代子訳、みすず書房刊)

『夜と霧』は、強制収容所から奇跡的な生還を果たしたオーストリアの精神科医・心理学者ヴィクトール・フランクル(1905年-1997年)が、ナチスの強制収容所での体験を基に著した著作です。

本書は、フランクルが収容所から解放され、ウィーンに帰還してから口述筆記されたもので、収容所という過酷な環境の中で、被収容者たちがなにに絶望し、なにに希望を見出したのかを、客観的かつ公平に描写しています。
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構成=石井節子

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