米国全土では、新型コロナウイルスのワクチン接種が1日数百万回単位で進んでいるが、筆者が最高経営責任者(CEO)を務める小売業界向け店舗分析プラットフォーム「ファースト・インサイト」が米国で実施した調査によると、ワクチンを接種したことで得られる安心感は人によってまったく異なり、特に女性は、ワクチンを接種したからといってすぐさま実店舗で買い物をするようにはならないようだ。
我々は、人々のリスクに対する許容度はもっと高いと予想していたのだが、どの年代に関しても、実際にはそれに反した結果が出ているのだ。
実際、調査に参加したミレニアル世代(1981年~96年生まれ)では、「ワクチン接種後に自分が実店舗で購入する衣類の量は、同じか、増えるだろう」と回答した割合は、男性が64%だったのに対し、女性は45%にとどまっている。
しかもこれは、ミレニアル世代だけの傾向ではない。ベビーブーマー世代(1946年~64年生まれ)も、「ワクチン接種後には、実店舗で購入する衣類の量が同じか増えるだろう」と回答した割合は、男性が61%で、女性が47%だった。Z世代(1997年以降生まれ)の場合は、男性が56%で女性が36%と、男女差が最も大きくなった。
こうした傾向は、フットウェアや化粧品を含むすべてのカテゴリーで同様だった。男女差に関する唯一の例外は、化粧品購入をめぐるベビーブーマー世代の調査結果だ。ワクチン接種後に実店舗で化粧品を購入する量は同じか増えるだろうと回答した割合は、女性が50%、男性が43%となっている。
このような変化が見られたのは、すべての世代を通じて、ワクチン接種に関する一般的な考え方が男女で著しく異なっていることが一因かもしれない。ファースト・インサイトの調査では、「ワクチンを接種するつもりはない」と回答した女性は男性を大きく上回ったことが明らかになっている。
ミレニアル世代では、「ワクチンを接種するつもりはない」または「ワクチンについて不安を感じている」と回答した男性は13%で、女性の41%と比べてかなり少なかった。男女差が最も開いたのが、このミレニアル世代だ。
しかし、ベビーブーマー世代にも同様の傾向がある。「ワクチンを接種するつもりはない」または「ワクチンについて不安を感じている」と回答した割合は、男性が21%、女性が32%だった。Z世代も同じく、男性が26%、女性が48%という結果となっている。
MITテクノロジーレビューによれば、カーネギーメロン大学で疫学研究を行うデルファイ・グループ(Delphi Group)が収集したデータから、ワクチンへの信頼度に関しては、ジェンダーで大きな差があることが明らかになった。男性より女性のほうが、ワクチンの副反応についてはるかに大きな不安を感じているという。