ビジネス

2021.04.03

我慢して働く時代は終わった 『転職2.0』のススメ

エール取締役 篠田真貴子(左)、リンクトイン日本代表 村上臣(右)


私が提案したい、すぐできるアクションとして、週一は絶対社外の人とランチを食べることです。リモートワークであれば、外部の人と1時間ズームを入れるって決めるんです。その際にお互い1人ずつ社内の知り合いを連れてくれば、4人でお昼食べて、そこに必ず初対面の人と1時間話せます。毎週やると、1年ほどで50〜100人新しい知り合いができるんです。

ここで自己紹介をし続けるだけでも、どういう風に自分を伝えるとわかってもらえるのか、会社とか仕事とか、経験について話すので、臣さんがおっしゃっていたタグも見えてきます。

自分がなぜこの会社にいて、何が嬉しくて何が嫌なのかということも人に話すことで初めてクリアになっていくんですね。このように意識して話す機会を作るというのは、結構方法論としてできることかなと思っております。



自分の人生の責任は、自分しか取れない


──確かに人脈からネットワーキング、アライというリフレーズは効果的ですね。最後に転職を考えている方へのアドバイスがあれば伺いたいです。

村上:色々な相談を特に若い方から受けていて思うのは、親の呪縛が大きいということですね。ロールモデルとして親を見ていたりします。親ブロックという言葉もあるように、ベンチャーは将来がわからないと学生時代に仕込まれるケースも未だに多いです。

でも、結局自分の人生に責任を取れるのって自分しかいません。自分のキャリアを、人生100年と言われる中で、80歳頃まで働き続けるとすると、確実にその責任は親ではなく自分しか取れません。

自分のうちなる声とか、楽しい、ワクワクするとか、定性的に聞こえるんですけれども、素直な思いとずれてくると人って辛くなるんです。自分の声に素直に選択をするというのがいい転職ではないのかなと思います。

篠田:大きく分けると30代後半から40代と、それ以前で転職の意味合いも変わってくると思います。若い方の場合は、転職は経験の幅を広げるという意味があると思うんですよね。

よくお話しするんですけれども、皆さん、初恋の人と必ず結婚して一生添い遂げなくてはならないとなったら、結構大変ですよね。どんなに愛していてもです。初恋の人と結ばれるという、美しい物語はありますが、それを強制されたら違う話になってきます。きっと多くの人は、色んな方とお付き合いしながら、自分とフィットする人が経験的にわかって長く人生を共にするパートナーが決まっていくわけですよね。

就職、仕事も一緒です。あまり仕事をしたことない人が、初めの職場でぴったりフィットということもあります。それはそれで素晴らしいんです。そういう意味で転職が正しくて、転職しないのがダメということではありません。ただ、初恋は初恋として麗しかったけれど、より自分にフィットしていく人を見つけていくように、転職というのはあっていい思います。

そのステージが終わるのは、概ね30代後半から40歳くらいでしょうか。そろそろ自分の持ち味で勝負していく時期だと思います。ですから、自分の方向性が見えてきている方に対しては、本当に自分の大事にしている軸ですかというところを問う必要がある。

世の中的に正しいとされる有名企業、イケてるジョブであるとか、給料が多いとか、もちろんそれが大事ではないとは言わないですが、それだけで決めていないか、自分に聞いてみてほしいです。

この頃までに自分のオリジナリティがわからないと、むしろ市場価値が劣等者の中で戦っていくことになります。臣さんもタグの組み合わせとおっしゃっていたように、数々ある軸の中で、自分のオリジナルの組み合わせってなんだろうというところを、軸に転職、あるいは社内でキャリアを築いていくのが鍵ですね。

文=初見真菜 構成・編集=谷本有香

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