ビジネス

2021.04.03

我慢して働く時代は終わった 『転職2.0』のススメ

エール取締役 篠田真貴子(左)、リンクトイン日本代表 村上臣(右)


──うまくいく転職はなんとなくわかってきましたが、逆に失敗する転職についても伺いたいです。

村上:そもそも、転職まで踏み切れないというところがあります。現状に不満があって上司が嫌だと思っていても、会社にロックインされてしまい、会社を辞めたら他の場所では通用しないんじゃないかと思っている。故に我慢してその場で働かざるを得ないという状況です。

これは失敗する転職以前にキャリアとして、かなり難しい状況にあると思います。この本を書いたのも、そういう人に対してそうではない、外の世界を見てみれば、フェアな関係になっているんだという示唆を与えたかったんです。

転職本を見ていると、キラキラした成功談が多いんですよ。でも今回は、困っていないけど現状もイマイチみたいな人をあえてロールモデルにして、彼がどうしたら羽ばたけるのかという方法論としてまとめるスタイルにしたんです。

失敗する転職の敗因は、自己認識なんです。ここが間違っていると、他がどんどん青く見えちゃって焦ってしまい、とにかく外に出ようとします。ここではないどこかに出れば幸せになれるんだという思い込み、幻想に動かされてしまいます。

これは失敗する転職のパターンであって正しい自己認識と市場価値を知った上で、そこをしっかりとマッチングさせることが必要です。これはキャリアカウンセラーとかリンクトインとかいろんな方法がありますが、まずは自分がなぜ悶々としているのかを
直視することです。これを見るのは怖いですが、そこの勇気をちょっと出すというのが一番失敗しない転職のために必要なマインドセットだと思います。

篠田:もう一つは、女性は刹那的にやめるというのがちょっと多い傾向にある気がします。女性が生物学的にそうだからということではなく、特に保守的な職場だと先が見えないので、なかなか女性がキャリアアップしてる姿が見えません。情報量も少なく結果として、この状態を打破するにはやめる以外しか思いつけないということだと解釈しています。

これは男女問わずですが、先が見えないなと思った時にいきなり転職というhowに飛びつく前に、自分が何故モヤモヤしているのか、職場が嫌であれば何がどう嫌なのかをクリアに言語化するくらい味わっちゃった方が良いですね。

そうすると、同じ会社でも別の部署なら良いという選択肢が見えるかもしれない。わかったことがしっかりしていれば、転職エージェント経由でも自分の願うオプションに近いものを選び取ることができるんじゃないかと思っています。

わがままなことでも全然いいんです。何が嫌かでもいいんですよ。
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文=初見真菜 構成・編集=谷本有香

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