ビジネス

2021.04.03

我慢して働く時代は終わった 『転職2.0』のススメ

エール取締役 篠田真貴子(左)、リンクトイン日本代表 村上臣(右)


極め付けは、最後にCEOから話したいとサンフランシスコに呼ばれ、1時間半くらい話したときです。そのときまだオファーの話とかなかったんですが、話していたら、意気投合して、もうやりたくなってしまいました。

彼にはオファーを受ける以前に、「You’re the country manager」と言われて、ヤフーもいい会社ですし仲間もいるので、かなり悩みましたが、コンフォートゾーンを出ないといけないと感じていました。楽しているし、やりたいことも実現してきたから、初めての外資転職という大ジャンプをしてみる。50代だったらできないですから。ちょうど40になるところで、今なら必死にやればなんとかなるかなというところが、転職の軸でした。


エール取締役 篠田真貴子

篠田:転職の軸でいうと、能動的な転職だけではなく、会社の都合で押し出されたりという受動的なものもあるので、判断軸は都度変わっていきます。

自分がどこに身を置くと楽しいかという軸はもちろんありますが、何が楽しいかというのはちょっと意識しづらいですよね。私は、好きなことドリブンでは必ずしもなくて。ただ「これは嫌だ」というのにはアンテナが立ってまして、嫌なものを避けるという観点はあります。閉塞感があるからこそ、違うものを試したいという原動力になりますよね。

もう一つは、私の場合は子供が2人いて、子供たちが保育園児だった頃は仕事と子育てと個人のことというのがどうにも24時間に収まらなくて、結構辛かったんです。自分の好きなことと仕事が多少重なることへの欲求が上がったんですよね。キャリアの軸というよりも、人生の中のキャリアなので、ライフステージがどうであるかとか、何が大事かということによって変わっていいんだと思う。

昭和的な価値観で、何を置いても仕事第一、家族を優先する時点で失格、という会社ばかりかといえば、そうではない。「自分の人生の中のキャリア」が軸だと思います。

今回エールに入るにあたって、ほぼ日を卒業させてもらったのが50歳だったんです。新しい会社は自分よりうんと若い方が経営している会社で働きたかった。

この先20年とか25年くらいは仕事はできるし、したいんです。どんな会社でも、創業時の時代の空気みたいなものがその組織風土に必ず入っています。色んな意味で環境は変わり続けるので、ここ5年でできた会社、というところに身を置きたかった。

あとはやっぱり、私より年下の方が経営している会社では無意識に選択したことの集積が未来を作っていくわけなので、それを私は学ばせてもらいたいなと思っていたんです。
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文=初見真菜 構成・編集=谷本有香

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