Born and educated in Edinburgh, Scotland, I've been traveling...

テスラ創業者のイーロン・マスク / Getty Images

米電気自動車大手テスラ創業者のイーロン・マスクはかつて、米風刺紙のジ・オニオン(The Onion)を愛読し、一時は買収に意欲を示したほどだった。

米ニュースサイトのデーリー・ビーストによると、マスクは以前頻繁に、ジ・オニオンで面白いと思った冗談についてライターや編集者に電子メールを送っていた。しかし今では、自分の気に触る内容を掲載するようになった同紙への愛着を失ったようだ。

同紙は先週公開した風刺記事で、マスクが巨万の富を築けた理由を「アパルトヘイト」の1語で説明。これに傷ついたとみられるマスクは猛反発した。

アパルトヘイトはマスクの母国・南アフリカで取られていた人種隔離政策。ジ・オニオンがこれを持ち出すことで暗示したのはもちろん、かの「エメラルド疑惑」だ。

マスクの父エロールがかつてザンビアのエメラルド鉱山の株式を所有していて、マスクがそのおかげで非常に恵まれた幼少期を過ごしたことは、頻繁に取り沙汰されている。一方でマスク本人は、自分は多額の学生ローンを抱えていた状態から自力で世界屈指の大富豪へとはい上がったと自負している。

しかし、米誌ローリング・ストーンは2017年、父エロールの話として、マスク家は「しばしば危険を伴う建設やエメラルド採掘の世界で財をなし、時には稼ぎ過ぎて金庫が閉まらないことさえあった」と伝えている。またビジネスニュースサイトのビジネス・インサイダーによると、マスクは若い頃ポケットにエメラルドを入れてニューヨークの通りをうろついたこともあった。

宝石採掘は“汚い”ビジネスとして有名だ。そのため、ジ・オニオンにより自身のイメージが血にまみれたエメラルドと結びつけられたことを快く思わないのは当然だろう。「アパルトヘイト」のジョークがマスクの怒りに触れ、スペースXのロケットのように爆発したのもそのためだ。

マスクはツイッターへの投稿で、「オニオンは恥を知れ! これだから人々はバビロン・ビーに乗り換えている」と不満をあらわにした。バビロン・ビーはジ・オニオンと競合する風刺ニュースサイトだが、奇しくもマスクについては風刺とは言い難い賛美記事を書いている。

バビロン・ビーの見出しは、マスクをスーパーヒーローとして仕立て上げるもので、例えば「イーロン・マスク、巨大な火炎放射メカでテキサス州民を救う」や「カリフォルニア州警察、イーロン・マスクのホログラムでできたおとりの逮捕試み 本人はロケットで火星に脱出」などがある。

皆さんは、こうした見出しのユーモアが理解できただろうか? 私はできなかった。

バビロン・ビーはまた、論争の的となるような過激な風刺を繰り返し掲載してきたメディアだ。手っ取り早い話題作りばかりを狙い、億万長者を崇拝する手法は、マスクの歓心を買ったようだ。

マスクは次に、ポケットにまだ残っているエメラルドを使って、バビロン・ビーを買収するのかもしれない。

編集=遠藤宗生

PICK UP

あなたにおすすめ