鼻腔スプレー版コロナワクチン、オックスフォード大が試験開始へ

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英オックスフォード大学は、英製薬大手アストラゼネカと共同開発した新型コロナウイルス感染症の鼻腔スプレー版ワクチンの試験を開始する計画だ。計画は、英紙フィナンシャル・タイムズが確認した文書により明らかになった。

欧米では、同社のワクチンの評判を失墜させるような議論がいくつも巻き起こっているものの、いまだに同社ワクチンには世界の大半で大きく期待が寄せられている。鼻腔スプレーを通じてワクチンが提供されるようになれば、注射針を使わずより使いやすいワクチンがもたらされるかもしれない。

フィナンシャル・タイムズ紙は先週、オックスフォード大学が初期段階の試験への参加者を探し始めたと報道。試験は今週にも始まる可能性があるとされ、試験完了までに予定されている期間は4カ月だ。

第1相試験と呼ばれる小規模な試験では、ワクチンの有効性を試験するより大規模な試験の前にワクチンの安全性が試される。

フィナンシャル・タイムズ紙が引用した募集シートによると、オックスフォード大学のチームはワクチンの接種を受ける対象者として40歳以下の健康な成人を30人ほど探していた。参加者は全員1回分のワクチンを受け、半分の人は後から追加のワクチンを受ける予定だ。

鼻腔スプレーを使ったワクチンは、注射針を使ったものよりも特に子どもの間で使用しやすく、鼻など粘膜の免疫防御を向上させることで追加の感染防止策となる可能性がある。

フォーブスはアストラゼネカとオックスフォード大学にコメントを求めた。

アストラゼネカのワクチンは、ファイザーやモデルナなどのワクチンと比べて入手しやすく安価で実用的であり、世界で新型コロナウイルスの予防接種を進める上で、大部分において基盤となる可能性がある。

しかしいくつか問題が続いたことから同社ワクチンの評判は損なわれ、人々が同社のワクチンに寄せる信頼は市場の他社ワクチンと比べてはるかに低い。アストラゼネカは最近、米国での臨床試験の結果に関して誤解を招きかねない情報を提示したとして独立委員会から批判を受け、有効性の修正分析を発表することになった。新たに発表された有効性は以前より低いものの、それでも十分優れたものだ。
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翻訳・編集=出田静

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