ビジネス

2021.03.31

倉庫作業に「ゲーム化」を導入したAmazonに、懸念の声

Photo by Helen H. Richardson/MediaNews Group/The Denver Post via Getty Images


VSNメディアのプレジデント、ジェームズ・テンサー(James Tenser)は、「単調さから気をそらすものが必要になるくらい退屈な業務なら、業務そのものを見直すべきではないか」と書いている。「本質的な価値のないばかげた報酬は、侮辱にほかならないように見える」

ペイパーマート(Paper Mart)のマーケティング担当バイスプレジデントであるアリソン・マクガイア(Allison McGuire)は、「ビジネスにゲーミフィケーションを導入する余地があるのは確かだが、これはその一例ではない」と書いている。「労働者は、ゲームによってではなく、望みや誇りによって動機づけられるべきだ」

倉庫労働者の扱いをめぐって批判を受けてきたAmazonは、ゲームの結果を監視したり、プレイしない従業員にペナルティを課したりすることはないと主張する。しかし、従業員は通常業務の一環として、さまざまなパフォーマンス要因を記録され評価されている。ゲームの導入後、こうした評価がより厳密なものになるのかどうかは、まだ明らかになっていない。

Amazonはリテールワイヤーに対し、次のように述べた。「従業員からは、ワークステーションでのゲームに参加できることを喜ぶ声を聞いており、こうしたフィードバックを参考に、ネットワーク全体のより多くの施設に拡大する予定です。ただし、規模を拡大しても、このプログラムが従業員にとって完全に任意参加であることは変わりません。好みに合う種類のゲームに切り替えるのも、匿名でプレイするのも、一切プレイしないのも、個人の自由です」

ブレイントラストのメンバーからは、仕事をゲーム化する仕組みそのものに対する懸念の声もあがった。

リレックス・ソリューションズ(Relex Solutions)の名誉会長を務めるアンドリュー・ブラザーウィック(Andrew Blatherwick)は、次のように警鐘を鳴らした。「倉庫は危険な環境だ。作業から労働者の注意をそらすものは何であれ、労働者自身と同僚たちを危険にさらす。ゲームの競争が過熱すれば、労働者にどんな影響が出るか、誰にもわからない」

「そもそも倉庫は仕事場であり、遊び場ではない。致命的な事故が一度でも起これば、こうしたアクティビティに対する世間の見方は大きく変わるだろう」

翻訳=的場知之/ガリレオ

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