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2021.04.12

その一言がD&Iへの道を切り拓いた! 気鋭の日本人女性外資系製薬企業トップが語る、課題と可能性

ユーシービージャパン代表取締役社長 菊池加奈子 

地方支店の学術担当からグローバル製薬企業ユーシービージャパンのトップへ登りつめた菊池加奈子のキャリアストーリーは、男女平等社会実現の体現者としての重みを持つ。

菊池が考える真のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)社会のあり方とは。



「今は職場での男女平等や公正さの意識は浸透して、男女比率で女性が多い場合もあります。しかし、女性の立場から見ると、本当の意味で完全なダイバーシティ&インクルージョンが実現しているかというと、そうではありません。解決しなければならない課題は常にあり続けます」 

そう語るのは、中枢神経領域と免疫・炎症領域を強みとするバイオファーマ「ユーシービージャパン」の代表取締役社長、菊池加奈子だ。1985年に北海道大学薬学部薬学科を卒業後、マリオン・メレル・ダウ、ボシュロム・ジャパン、米ボシュ&ロム・インコーポレーテッド、ノバルティス ファーマ、グラクソ・スミスクラインなどに在籍。日本では数少ない、外資系製薬企業の代表取締役社長に就任した女性であり、男女雇用機会均等法が成立した頃から、D&Iを推し進めてきた牽引者でもある。

人生の転機となったプロダクトマネジャーのオファー


大学卒業とともに北大機器分析センター(現・北海道大学創成研究機構グローバルファシリティセンター)で分析業務に従事した後、語学とダンス習得のためアメリカに渡った。帰国後、語学講師などを経て就職したのは製薬業界のマリオン・メレル・ダウ日本法人札幌支店。学術兼管理薬剤師として入社したが、最初はお茶くみ、電話番など雑務が中心だった。

転機が訪れたのは、米国本社より日本法人のNo.2としてコマーシャルヘッドが来日したことからだ。彼は全支店から管理薬剤師(当時は全て女性)を集めて会議を開き、何か会社に言いたいことはないかと聞いてきた。そこで、菊池は女性たちを代表し、製薬会社で薬剤師免許を持っている自分たちを有効活用すべきだと伝えた。

本人としては「たまたま英語が話せたのが自分だったから」提案したのだが、そこから運命は急展開する。日本法人の本社がある大阪への転勤、そしてマーケティングの新製品のプロダクトマネジャーをオファーされたのだ。

「コマーシャルヘッドの外国人上司が『マーケティングをイチから教えるから』と。当時はマーケティングとは何か、を説明できる人もいないし、教えてくれる人もいない時代です。その時、最先端のマーケティングを教えてもらえた。私にとってはラッキーでした」

新たな職種、そして若い女性の登用。1990年代は、まだ会社の中に旧態依然の男女差があった。菊池も年配の社員から「女で若くて英語ができたらプロダクトマネジャーになれるのか」といった陰口を叩かれたこともあった。しかし上司は、「気にする必要はない、君がやっていることは正しい」とサポートしてくれた。さらに若い世代の男性社員たちも支えてくれた。本人も周囲に溶け込めるよう日常会話に関西弁を取り入れたところ「一気に仲間になれました。インクルージョンされましたね」と笑う。頑張っていれば必ず誰かが見てくれている。一生懸命と自然体の合わせ技で、周囲と協調し、着実にキャリアを積んでいった。

多くの人に支えられて飛躍したアメリカ・フロリダでの経験


第二の転機はアメリカのボシュ&ロム・インコーポレーテッドに出向し、フロリダ州タンパとニューヨーク州ロチェスターで過ごした5年弱だ。

「グローバルでのスケールの違いを感じました。特にタンパは多様な人種のるつぼで、ダイバーシティが貫かれた環境。価値観も全く違うけれど、誰もがとてもアグレッシブでした」


米国ボシュ&ロム・インコーポレーテッド勤務時代、フロリダ州タンパにて

最初はひるんでいた菊池も、周囲から褒めて育ててもらううちに、日本人らしい堅実さが強みになることを知る。自分らしさを発揮して会社に貢献できるようになった。

「アメリカの5年弱で自分の視野がとても広がりましたし、レジリエンスも上がりました。名だたるコンサルタントの方やプロジェクトチームなど同僚・上司の支え、日本から応援してくれた医師など、人に助けられながら成長してきた自負があるので、今も部下には手をかけすぎているところがあります」

ルールがあっても環境整備がまだ途中。真のD&Iを実現するには


日本に帰国後、菊池は、ほぼ2〜3年のペースでキャリアアップを続けていく。事業部長、統括部長、役員など各社で要職を歴任、2017年にはグラクソ・スミスクラインの社長に就任。そして2018年からはユーシービージャパンの社長として、D&Iと向き合っている。

ユーシービージャパンでは、D&Iに加え、エクイティ(公正)へのコミットを掲げている。「WiL(Women in Leadership)」という社員中心のボトムアップ型の取り組みを本社と各国支社で行い、女性活躍推進を図るほか、エクイティを実現するため、若手たちが意見を言える環境を創出している。 菊池に日本のD&Iのあり方を聞くと、「ルール上はどこの会社もしっかりとできているが、環境整備が不十分だ」と指摘する。

「たとえば男性社員の育休制度ひとつをとっても、ルール上は可能ですが、まだ取得するハードルが高い。上司や周囲の理解が深まるようなカルチャーをつくり、運用するための環境整備が必要なのが現在地だと思います」

そのためにはどうすべきか? 菊池は「無理やりにでも進める」と笑顔で語る。彼女が最初にプロダクトマネジャーになったように、とにかく実践し、仕組みを動かすことが大事なのだ。


全社タウンホールミーティングで最後に一本締め

「カルチャーや環境が整っておらず、まだできないと思われることでも、ルールがあるなら無理やりにでもやらせてみる。少し無理をしないとなかなか前に進みません。でも、やってみてうまくいけば、それはボールが転がり始めるのと一緒。最初にボールを転がすのには力がいります。力をいれないとボールは転がらない。もちろん反対する人はいるかもしれませんが、押す人がいないといけない。遠慮せずに進めるようにするのが会社であり、マネジメントだと思います」

静から動へとアグレッシブに進めていく菊池は、自身の中に北海道生まれ特有のフロンティアスピリット、そして打たれ強さを持っているという。

「雪国では冬になると毎日雪かきをしなくてはいけない。私が小さい頃は、朝、玄関が開かないほど雪が積もり、物心ついた時から冬の朝は雪かきでした。寒くて重くて、コツコツ毎日やらなくては生活ができない。でも、雪かきには必ず終わりがあります。最後には勝つ。やり続けることで、自分が生活できる。そのことを思うだけで初心に返ることができるのです」

次々と新しい課題が見えてくるD&Iの推進。しかし菊池にとっては雪かきと同じく、必ずいつかゴールが見える、最後には勝つものとして捉える粘り強さがある。

「アンコンシャスバイアス、無意識の偏見がなくならない限り、D&Iを一生懸命やり続けないといけないと思います。ゴールが見えない中においても、お互いのアンコンシャスバイアスをなるべくなくし、さまざまな多様性をインクルードできる社会になるよう、私なりに努力していきます」




菊池加奈子 きくち・かなこ◎北海道森町出身。マリオン・メレル・ダウを皮切りにボシュロム・ジャパン、米国ボシュ&ロム・インコーポレーテッドを経て、ノバルティス ファーマ入社。眼科事業、OTC事業、固形腫瘍事業の事業部長を歴任。2013年にグラクソ・スミスクラインへ入社後、常務取締役(経営戦略・マーケティング・マルチチャネル担当)などを務めた後、2017年4月同社代表取締役社長。2018年5月ユーシービージャパン入社、同社代表取締役に就任(現職)。

▶ユーシービージャパン



 

Promoted by ユーシービージャパン 文=石澤理香子 │ 写真=奥西淳二

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