デジタル版コンビニエンスストアを謳う同社は、競争が激化するフードデリバリー業界で、「ドアダッシュ」や「ポストメイツ」、「インスタカート」という大きなライバル企業を相手に戦いに挑もうとしている。
発表によると、ゴーパフは今回のラウンドで評価額が89億ドルとなり、2020年10月の評価額39億ドルと比べて2倍以上に達した。創業8年目の同社が調達した資金はこれで、累計25億ドルほどになる。
今回のラウンドでは、以前から投資しているソフトバンクのビジョンファンドや、D1キャピタルパートナーズ、ルクソール・キャピタル(Luxor Capital)に加えて、フィデリティ・マネジメント&リサーチ・カンパニーとベイリーギフォード、エルドリッジ(Eldridge)も新たに出資した。初期の出資者に名を連ねていた名門ベンチャーキャピタルであるアクセルは、今回のラウンドには参加しなかった。
ゴーパフによると今回の調達資金は、米国内外を含む世界展開や、アプリで購入できる製品カテゴリーの拡大に投入される。テクノロジーや人材へも追加投資されるという。
ゴーパフの創業は2013年。ペンシルベニア州にあるドレクセル大学の学生ラファエル・イリシャエフ(Rafael Ilishayev)とヤキール・ゴーラ(Yakir Gola)が、学生向けの夜食配達サービスとして立ち上げた。
それ以降、サービスは650都市に拡大。配達商品は、アイスクリームからビール、市販薬、洗剤など4000品目を超えている。デリバリーに要する時間は30分ほどで、配達料は一律1.95ドルだ。商品を仕入れる小売店のようなかたちで運営されており、注文が入ったら、250カ所ある小型倉庫のネットワークから配達する。
ゴーパフは2020年11月、酒屋チェーン「ベブモ」を3億5000万ドルで買収すると発表。米西海岸での急速なプレゼンス拡大を目指している。ベブモ買収の重要な意味は、最大の売れ筋であるアルコールの販売が即座に可能になったことだ。そうしなければ、新しく市場に進出するたびに酒類販売許可を取得しなければならなかっただろう。
パンデミックの発生で、玄関先まで商品を届けてくれるデリバリーアプリの利用が伸びており、ゴーパフは2020年前半に注文数が400%増と急成長した。その一方で、デリバリー業界は過密化しており、アマゾンやドアダッシュ、ポストメイツ、インスタカートという大手が入り乱れる厳しい戦いを迫られている。
インスタカートは2021年3月、2億6500万ドルを新たに調達し、評価額が倍増して390億ドルに達した。ドアダッシュは、総額25億ドルの資金を調達したのち、2020年12月に新規株式公開(IPO)を実施。現在の時価総額は約440億ドルに上っている。ポストメイツは2020年7月、26億5000万ドルでウーバーに買収された。