また、大半の国と同様、ブラジルも死者の大部分を占めるのは高齢者だが、若者が占める割合の増加傾向が続いている。40歳未満の感染者が死者に占める割合は、2月には5%に満たなかったものの、3月は約6%となっている。
ブラジルの医師らがCNNやブルームバーグに対して語ったところによると、パンデミック発生以降、若い感染者は現在が最も多くなっている。重症化し、病院の集中治療室(ICU)での治療が必要になる若者も増加しているという。
こうした状況について、専門家の間では、新たに出現した新型コロナウイルスの変異株(ブラジル型)が原因との見方が示されている。変異株はより感染力が強く、変異前の株に感染した人でも、再び感染する恐れがあると指摘されている。つまり、ブラジルでは年齢にかかわらず、感染リスクが高まっているということだ。
また、北西部の都市マナウスで最初に確認されたこの「ブラジル型」変異株は、すでに米国のほかラテンアメリカ、欧州の各地でも感染が確認されている。
政府の対応に問題
ブラジルはその他の国と比べ、ソーシャルディスタンスを取ることについてのルールが徹底されていない。ジャイル・ボルソナロ大統領は感染拡大を抑制するための都市封鎖(ロックダウン)を公然と批判。感染拡大を懸念する人々を嘲笑し、地方自治体には制限措置の解除を求めてきた。
ブラジル政府のデータによると、パンデミックの発生以来、新型コロナウイルスに感染して死亡した人はすでに31万3860人を超えている。これは、米国に次いで世界2番目に多い人数だ。また、ブラジルの1日あたりの新規感染者数と死者数はここ数週間、米国を上回っている。
ブラジルでは昨年中にも何度か感染者が急増したが、ここ数カ月は特に増加のスピードが速く、状況は一層厳しさを増している。保健省の研究機関、オズワルド・クルス財団によると、感染者の増加に伴い、国内の病院の多くはすでに医療体制が崩壊。ICUは病床も人員も、医療用物資も酸素も不足しているという。
同国で少なくとも1回の新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた人は、3月28日現在、人口のおよそ6.5%。接種のスピードは遅く、専門家らはいら立ちを募らせている。
これまでに緊急使用が認められているワクチンの中には、ブラジル型変異株への有効性がわずかに低くなると指摘されているものもあるが、それでも有効性は確認されている。